「最短距離」の向こう側へ

TOEICを指導していると、よく聞かれます。
「どうすればスコアが上りますか?」とか、「来月までにスコアを上げたいんですが?!」など。

最近では、多くの企業でTOEICがそれこそ知能テストのように扱われる傾向にあるので、社員も必死ということでしょう。
彼らの目的は、早く目標スコアをクリアして本来の業務に専念したいということであり、至極まっとうな要求でもあります。
それに、日本人はどうしても点数にこだわりますがら、社内で点数が良いと、周りから一目置かれることにもなります。

このようなビジネスパーソンの場合は、目標スコアをクリアするまでは短期戦で集中し、クリアした後はTOECのことはいったん忘れて、
英字新聞やペーパーバック(KindleでもOK)を読む習慣を付けたり、リスニングのスクリプトを実際に使ったりして、英語を楽しむ方向にシフトしてほしいと思います。

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中には、900点を取らないと気が済まないと考えている方もいらっしゃいますが、その場合も、半年なり1年なりといった期限を設けて取り組む、TOEICの問題をひたすら解き続けるといった味気のないトレーニングを避けるなど、配慮が必要です。また、1年掛けて英語をブラッシュアップさせる場合、TOEICの問題以外に、やはり英字新聞やペーパーバックの多読を盛り込むことをお勧めします。

大人になれば、時間は貴重な資産であり、しかもそれが有限であることに気付きます。スコアアップは大切ですが、限られた時間の中、自分の精神や知性を深めてくれるような英文に触れることも大切だと思いますがいかがでしょうか。つまり、英語を単なるツールと割り切らないスタンスもありだということです。それに、そもそも、ネイティブスピーカーは日本人ほどTOEICのスコアを気にしていないことを知っておくのも良いかもしれません。

英語の凹凸

TOEICのリスニング問題は、4カ国のナレーターの英語音声で録音されています。日本人にとって一番なじみがあるのはアメリカ英語でしょう。

そしてそのアメリカ英語ですが、一般的には中西部の英語(というよりは米語)が標準であるとされています。しかし、アメリカに滞在したことがある人はわかると思いますが、日常生活でこの標準米語に接する割合は、特にワシントンDCやニューヨークのような都市部ではそれほど高くないかもしれません。

大学や大学院の先生たちは、非常にきれいな米語を、しかもゆっくりと話す人が多いという印象を受けます。
しかし、一歩キャンパスの外へ出ると、そこには実に雑多な英語が待ち受けています。特にワシントンDCはアフリカ系の人が多いので、普通にダウンタウンを歩いていたり、地下鉄に乗っていたりすると、ラップのような英語が聞こえてきます。

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ここで気になるのは、標準米語を自認するようなアメリカ人にとって、彼らが許容できる英語はどこまでかという問題です。
國弘正雄先生は、『英語の話しかた―国際英語のすすめ』の中で、アメリカ人の航空管制官の例を挙げて、様々な国籍のパイロットが話す英語を理解しなければならない大変さについて触れておられます。つまり、国際化やグローバル化というのは、ほかならぬアメリカ人にとっても一定の負担を強いているということです。

常識的に考えれば、標準米語から著しく逸脱した英語を話す人とやり取りすることは、アメリカ人にとって大きなストレスになることは容易に想像できるのですが、非ネイティブが標準米語を話すことは当然ながら完璧には期待できません。でも、会話という音声を媒体にしてやり取りする際に、意思の疎通が可能か否かを、彼らアメリカ人がどこかで無意識に区別しているような印象を受けます。

もしかすると、ここに、ネイティブとやり取りする際に気を付けておくべき発音上のポイントがあるのかもしれません。

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