OBによる大学紹介-3:金沢大学(医学部:医学科)

OBによる大学紹介,第3弾は「E.T」さんです.「E.T」さんは現在,金沢大学大学・医学部3年生として,学業とサークル活動の両方で充実した大学生活を送っていらっしゃいます.では,始めましょう.

Q1. こんにちは.お名前をどうぞ.

「E.T」です.

Q2. 在籍大学と学部・学科について教えてください.

金沢大学の「医薬保健学域医学類」3年生です.

Q3. 金沢大学の志望理由を教えてください.

恥ずかしながら特に強い理由があるわけではありませんでした.父が医師だったこともあり,医学という学問が身近に感じられ,かつ憧れの対象であったことが一番の理由です.

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宝町キャンパス:01

Q4. 金沢大学に入学後の印象はどうですか.

 周りの人と競争する大学受験とは大きく異なると感じました.例えば,テスト時にみんなで協力しあい,一緒に合格しようという意識が強いことに驚きました.また,入学してからも勉強ばかりかなと想像していたのですが,いつも勉強という感じではありません.ほとんどの学生が医学類の部活動に所属し,アルバイトを掛け持ちしています.
 
 一年次は山の中にある「角間キャンパス」,2年次から6年次までは「宝町キャンパス」でそれぞれ学びます.宝町キャンパスは兼六園や金沢城など金沢を代表する観光地が徒歩圏内にあり,勉強で疲れたときなど,散歩すると心が和みます.

Q5.英検準1級を取得されていますが,取得時期や対策の際に心がけたことを教えてください.

高校2年生の時に,準一級に合格しました.準一級を取るには,英語力はもちろんですが,何よりも長文やリスニングの内容が高度であることから,理系文系問わず幅広い分野における基礎知識が必要です.そのような教養があまりないと当時は感じていたので,AEAの授業を通して,過去問その他の英文を精読することで,合格に必要な知識や教養を身に付けることができました.特に,長文読解では,パッセージ全体の主旨を捉えることや,出題者の意図を考えることの重要性も学びました.初めはあまりできなかったですが,試験までにはできるようになりました.

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宝町キャンパス:02

Q6.英語・英検をどのように生かしていますか.例えば英検を取得することが何らかのメリットになっていたり,大学での学びに活かすことができていますか.さらには自主的な学びにつながっていますか.

一年次にTOEICを受験しました.大学の規定により730点以上の点数を取っていると授業が免除されます.

ニ年次には「医学英語」という授業があり,英語で医療倫理を学んだり,診察する練習をしたり,医学の専門的な内容を英語で読んだりします.高校時代,AEAで行った大学受験や英検対策を通して,Scienceその他,医学関連の英文をすでに読んでいたこともあり,それらの学びが生きていると感じます.

Q7.大学での英語授業の印象はどうでしょうか.学生のモチベーションや担当教員の意識,使用教材や授業の進め方について教えてください.

一年次は基本的には週に2回,ネイティブ講師による英語の授業があります.また,共通教育科目が英語で開講されているものもあります.TOEICの勉強だけでなく,コミュニケーションを中心とした授業が受講できます.

二年次では,先ほども触れましたが「医学英語」の授業が行われます.加えて,専門科目においても「解剖用語」を英語で覚えたり,授業で配られる資料が全て英語のものもあります.

Q8. 異文化交流はあるのでしょうか.外国人の教員や留学生との交流,留学の有無について教えてください.

ネイティブの講師が2人いらっしゃいます.お二方とも医学を学んでいたということもあり,医学分野でのコミュニケーションを学ぶことができます.

一年次にエジンバラの医科大学に短期留学するプログラムや,上級学年次に,ニューヨークで医学研修するプログラムもあります.

Q9. 仕事上のキャリアや展望等,将来の予定は決めていらっしゃいますか.

まだ医学の現場をしっかりと見たことがなく,来年から行われる「病院実習」を通して自分の将来をどうするか,じっくり考えていきたいと思います.自分としては,生まれ育った北陸の医療に貢献したいという希望を持っています.

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部活のスキー合宿

10. 最後に,後輩・受験生に向けて,当塾の授業で役立ったことがあれば教えてください.

AEAに通ったことで「英語の4技能」を学び,身に付けることができました.それだけではなく,学校の課題に追われ,課題をこなすことに気を取られがちだった時,課題はが全てではなく,視野を広げ,幅広い教養を身に付けることの大切さも学びました.

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「E.T」さんは中学・高校時代の約5年間,当塾で学びました.入塾当初からモチベーションが高く,口数は多くないものの,内なる闘志を秘めているという印象でした.中学時代に英検2級に合格,高校入試もスムーズに目標を達成,高校2年次に英検準1級まで進みました.自分からはっきりとは言わないものの,医学部に進むだろうと思われたため,英検1級や雑誌Scienceの英文を精読することで,医学部合格に必要な力を着実に身に付けていきました.本格的に英検1級合格を目標にするようアドバイスしようとも思いましたが,本人の希望を尊重し,高校3年生以降は医学部合格を最優先しました.

印象に残っているのは,いつも重いリュックを背負いながらも,愚痴一つ言わずに黙々と通塾し,授業に参加する姿です.たまに厳しいことを言ってもポーカーフェイスで表情があまり変わらないので,話が通じているのかどうかわからないこともありましたが(笑),最後にはきっちり結果を出す,論より証拠といったタイプの生徒でした.

本人も述べているとおり,今は学業・サークル活動の両方で大学生活をエンジョイしているようです.おそらくは,今はこれまでの人生で最も楽しい時期だと思います.思いっきり楽しむことで,今後の人生の糧にして欲しいと思います.応援しているので,ぜひ頑張ってください.

OBによる大学紹介-1:富山大学(医学部)

OBによる大学紹介,第一弾は「chika」さんです.「chika」さんは現在,富山大学の医学部2年生として,日々忙しい毎日を送っていらっしゃいます.では,始めましょう.

Q1. こんにちは.ご無沙汰していますが,お名前をどうぞ.

お久しぶりです.「chika」です.

Q2. 在籍大学と学部・学科について教えてください

富山大学の医学部医学科2年生です.

Q3. 医学部を志望した理由を教えてください.

テレビ・ドラマの『コウノドリ』を観て,赤ちゃんとお母さん2人を同時に救うことのできる産婦人科医を志しました.

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Q4. 医学部入学後の印象はどうですか.

富山大学・医学科の学生は個性の強い人が多く,刺激的で楽しいです.
皆ずっと勉強ばかりしているわけではなく,アルバイトやサークル活動にも精を出していて,時間の使い方を工夫しながら生活している印象です.

キャンパスは,1年次は五福キャンパス,2年次以降は杉谷キャンパスとなります.杉谷はキャンパスの近くにスーパーがなく,ファボーレまで行かないと日用品の買い物が出来ません.このため,2年次以降は車を持っているか,持っていないかで過ごし方に差が生じると感じます.

Q5.当塾在塾中に英検を取得していらっしゃいますが,取得時期や対策の際に心がけたことを教えてください.

浪人中(1浪)に「英検準1級」を取得しました.
対策としては,AEAの授業で,過去問対策を中心に3~5年ほど取り組みました.読解の問題では逐語訳していくというよりは,段落ごとに大まかな内容を捉え,プラスの内容かマイナスの内容かを意識することで,時間に余裕を持って解答することができました.

医学科の学生でも2級を取得している人は多いですが,準1級を取得している人は少ないです.

Q6.英語・英検をどのように生かしていますか.「chika」さんは,大学入学前,当塾で学んでいる間に準1級を取得しましたが,それが何らかのメリットになっていたり,大学での学びに生かすことができていますか.さらには自主的な学びにつながっていますか.

1年次の基礎英語では前期に英語リテラシー①,英語コミュニケーション①,後期に英語リテラシー②,英語コミュニケーション②の4つの授業があります.

英検2級を取得している場合,このうち1つの授業を受けなくても単位認定がおり,また,準1級を取得している場合,2つの授業の単位認定がおります.そのため,丸1日大学に行かなくても良い日ができ,他のことに時間を使うことが出来ます.

Q7.大学での英語授業の印象はどうでしょうか.学生のモチベーションや担当教員の意識,使用教材や授業の進め方についても教えてください.

大学での英語の授業は,TEDの2分程度の動画を毎回授業前に視聴し,あらかじめ与えられた問いに対する自分の答えを用意します.

そして授業内でグループの人たちと意見交換をし,皆の前で発表します.
その後医療系の長文読解を毎回少しずつ進めていきますが,これは逐語訳がメインで,内容の議論などはありません.ほとんどの学生は予習をして授業に臨んでいます.

Q8. 異文化交流はあるのでしょうか.外国人の教員や留学生との交流,留学の有無について教えてください.

3人いらっしゃる英語教員のうち,2人は外国人です.主に英語のみでのコミュニケーションがメインですが,言葉に詰まったりすると日本語で話していただけます.

1年生の春休みにマレーシアやフィリピンへの留学プログラムが設けられており,これは医学科だけでなく富山大学の全学部の学生が対象となっています.

Q9. 仕事上のキャリアや展望等,将来の予定は決めていらっしゃいますか.

大学入学前は産婦人科医を志望していましたが,現在は総合診療科や外科に興味があります.

実習等で自分の適性を見極めながら,専門科を決めていきたいと考えています.

Q10. 最後に,後輩・受験生に向けて,当塾の授業で役立ったことがあれば教えてください.

AEAに通ったことで英語力が向上し,専門的な医学英語の授業に問題なく着いていくことができています.

英検対策でたくさんの長文読解やリスニングに取り組んだことで,大学受験にも,その後の大学の授業にも役立っていると感じています.

皆さんも,ぜひ楽しみながら頑張ってください!

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富山大学の医学部では,準1級を持っていると,一部の科目で授業免除の恩恵が受けられるとのこと.これは素晴らしいですね.空いた時間を使って,たっぷり原書を読んだり音声を聴いたりできます.

「chika」さんは,英語以外では,音楽の分野でも才能を発揮していらっしゃる多彩な方です.入塾の面談時は,最初,芸大志望かと早とちりした記憶があります.

また,医学部志望なのに,英語や国語等,文系科目が得意というバランスの良さ?が印象に残っています.
言語感覚に優れ,穏やかな性格の「chika」さん.将来は同僚医師だけでなく,担当する患者の方々からも大きな信頼を得ることでしょう!

以上,富山大学医学部2年生の「chika」さんでした.
今後も順次,他大学に進学したOBの方々に話しを伺う予定です.
ご期待ください!

医学部志望の大学受験生,苦手意識を克服し,実用英検準1級に合格.

2021年度第1回目の実用英検について合否の発表がありました.タイトルに示したように,今回は嬉しいことに,医学部志望の大学受験生を含め,準1級と2級の両方で合格者が出ています.

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準1級に合格した生徒は,実は一次・二次共に初回受験での合格ですが,受験した当の本人は大変驚いています.

なぜなら,この生徒は,春に集中授業に向けて面談を実施したときは,開口一番「英語に苦手意識がある」と述べていたからです.

話を聞いてみると,現役で医学部を受験したが残念な結果に終わったこと,原因は英語にあると感じており,なんとしても英語の力を上げる必要があることのことでした.集中授業からの開始でしたが,最初は2級レベルの英文も理解が不十分な箇所があり,少しわからない英文に出くわすと渋い表情を見せてしまうという状況でした.

当塾では,高校3年生以降に授業を開始する生徒もいますが,彼ら・彼女らには共通した特徴があります.顕著なのは,音声に無頓着であるか,関心が薄い(教科書に付属するCDは聴かないし,洋楽等の音楽にもあまり興味がない),音読が苦手,従って一定量の英文を一定の速度で読み進めることができないか,もしくは苦手である,リスニングも,学校から配布されるドリルをこなすだけといった具合です.

これらの生徒は,英語における情報伝達の基本であるパラグラフ・リーディングその他について,学校あるいは自分できちんと学んでいないため,パラグラフを読み終えたときに頭に情報が残りません,ライティングにおいても,学校では和文英訳のドリルをこなすことが中心であったり,自由英作文を含めたライティングの添削指導が不十分であったりするため,彼らが書くエッセイは日本語をそのまま英文にしただけという感じです.

今回準1級に合格した生徒は,医学部に進学したいという位ですから,基本的な学力は十分に備わっているはずです.したがって,本人が感じる「苦手意識」がどこから来ているのか,根拠があるのか,もしかすると錯覚に過ぎないのではないか,探りながら授業を進めました.

高校時代に散々ドリルをこなしていることから,基本文法は身についています.従って以下の課題を克服すべく計画を立てて授業を進めました.最優先課題は語彙力を増やすことです.2級レベルの語彙も怪しいことが判明したため,過去問を使って必須単語を明示し,辞書の例文をノートに書き取るよう指示.リーディングは内容が平易なリスニング・スクリプトを使ってパラグラフ・リーディングの基本を頭と体にたたき込みました.

1ヶ月ほど経過した時点で2級レベルの英文はほぼ理解できるまでに進歩,遠慮せずに準1級に向けて頑張ろうと励ましました.素直な性格なので本人もやる気が出てきた様子.ここでもリスニング・スクリプトの音読・精読から開始.ただし,語彙や内容すべてがレベルアップし,最初は渋い表情.授業ではゆっくり音読・精読し,自宅でも必ず復習の時間をとり,音声の視聴は欠かさないよう念を押しました.

集中授業(16回)の半分ほどが済んだ時点で,準1級のリスニング・スクリプトは内容がほぼ理解できるようになり,リーディングの精読に移行.本格的にパラグラフ・リーディングの学習を開始しました.実用英検は年に3回受験の機会があります(会場受験の場合).このため,問題のレベルや傾向は一定に保たれています.各級で出題者が求めていることは何か,本文中の英文を示しながら解説.段落の構造やパラフレーズを学ぶことで,設問の正解と本文中で根拠となる英文には密接な関係があることが身をもって理解できるようになります.

ライティングは,本番までに数回添削.最初はつたない英文でしたが,正しい書き方を学ぶことで,合格レベルの内容に仕上がりました.

一次試験終了後は「リスニングに自信がない」と言っていましたが,結果は見事1回の受験で合格.二次試験も「イラスト問題」,「自由応答問題」共に,簡単に応用できるテンプレートを使って口頭練習.一次試験同様,こちらも1回の受験で合格しました.

現役で志望する大学に合格できず,もう1年頑張ろうと決意した生徒の場合,目に見えないプレッシャーを感じていることと思います.今回の合格をきっかけに,次のステップに向けて楽しく頑張っていきましょう.

医学部2名合格:富山大学,金沢大学

今回,当塾に在籍する受講生2名(共に女子生徒)が富山および金沢両大学の医学部に合格しました.おめでとうございます.の当塾からは初めての医学部合格,しかも2名のダブル合格です.志の高い高校生が自らの希望を叶える姿を見ることができ,個人的にも大変嬉しく思っています.

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さて,結果論から言えば非常にうれしい話なのですが,当初は指導の方法や内容の点で大いに悩みました.そこで,まずは富山大学,金沢大学それぞれの過去問を細かく分析し,どうすれば普段の授業に生かせるか考えました.また,医学部には面接があるため,この点についてもフォローする必要がありました.個人授業であるため,細かくみれば,二人の授業には異なる点もあります.ただし全体で見れば,概ね以下のような基本的なスタンスで授業計画を立て,1年間の授業を進めました.

1. 自らの決意が揺るぎないものであることを意識喚起する.

大学入学1年前に手帳を持参させ,第1ページ目に,「2021年,4月1日,私○○は無事△△大学医学部に入学することができました」と書かせました.いわゆる「願えば叶う」です.私自身,人生は,意識するしないに関わらず,良いことも悪いことも,概ね自分が思い描いた通りになると見ています.物事が成就できるかどうかは思いの強さに比例します.

2. 物事を高いレベルから俯瞰する

大学受験背一全体で医学部を受験し,実際に入学する割合はどれくらいでしょうか.また大学側は入学する学生に対して何を求めるのでしょうか.今のコロナ・ウィルスを取り巻く状況を見てもわかるとおり,物事は必ずしも計画どおりには進みません.門外漢の人間が言うことではありませんが,医師になれるかどうかは,入試や国家試験を含め,最終的には試験次第です.しかし医学部の入試には「面接」があります.そこで授業では,なぜ医学部の入試に面接があるのか,生徒自身に考えてもらいながら,また「一対一の対話」を通して自らの言葉で表現する練習を重ねながら,指導を続けました.

3. 偏差値以外の尺度を持つ

「面接」があることとも関連しますが,たとえば富山大学の医学部は,英語に関しては独自入試です.つまり他学部とは問題が異なるということです.具体的には科学誌Scienceが出題時の素材として好まれる傾向にあり,この点についても,特に過去1年間のScienceエッセイの中から受験問題としてふさわしいと思われる素材を検討・選択し,授業でも使用しました.ヤマを張るということではなく,問題作成者であればどのエッセイを採用するかを考え,50本程度目を通した中から10本程度を選び出し,授業で使用したというだけのことです.

当然ですが,普通の高校生は自らScienceに目を通すことはありません.ほとんどの生徒は学校から与えられる課題を無自覚にこなすだけです.一方の大学側は,高校生が普段どのような学習をしているか,あるいはしていないかということをお見通しです.数段高いところから受験生に手を差し出し,「医学部に入学したいのであれば,偏差値や模擬試験の結果ばかり口にせず,自分の頭で考え,手を伸ばしてここまで上がってきてください」と言っているように私には思えます.「○○模試」のような模擬試験のスコアばかり気にする生徒は,自分には何か大きく足りない側面があるのではないかと考えてみることも大切です.

現在,4月以降の受講申し込みや面談依頼が複数来ていますが,医学部志望の生徒も何人か含まれているようです.不安が続く時代に医療の現場に自ら立ちたいと考える高校生がいるのは日本にとっては大きな救いです.今後も,彼ら,彼女らの希望が叶うよう精一杯授業で応援します.一緒に頑張りましょう.

医学部志望者の増加に伴い対策を拡充します:富山大,金沢大

去年あたりから国内の医学部への進学を希望する高校生からの入塾相談が見られるようになりました.これまでも理系志望の高校生はいましたが,大抵は工学部・理学部に進む生徒であり,入塾相談の段階から医学部受検を明言する生徒はあまりいませんでした(中には,中学の段階から医学部志望を明言する生徒もいます).

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それとなく確認したところ,現在は在籍生徒の半数近くが医学部を志望または選択肢に入れているようで,しかもほとんどが女子生徒です.男子の場合は,父親が医師であっても医学部以外の理系学部に進む生徒や,医学部を志望しつつも,心の中ではゲームやITに対する興味・関心が強く,中には医師の仕事をしながらゲーム実況も頑張りたいと考える猛者もいるなど,女子とは考え方が異なります.

このような傾向を踏まえ,去年から北陸の主要大学である富山大学と金沢大学の医学部・過去問に対する分析を続けてきたところです.それらを踏まえて言えるのは,特に富山大学の場合,現役生が自力で対処するのは難しいだろうということです.

例えば富山大学の入試問題ではScienceのエッセイが好まれる傾向にあります.腸内細菌等,体内の細胞に関する新しい発見であったり,職業の選択や軌道修正で悩む大人の体験談が主な内容ですが,受験生である高校生はこのような専門色の濃い英文を制限時間内に読みこなし,最後にはポイントを絞ったエッセイとして仕上げる必要があります.

いったいどれだけの高校生が,普段の勉強で科学紙ScienceのWebサイトに自らアクセスし,出題傾向を踏まえた上でエッセイや論文をダウンロードし,自力で読みこなし,ポイントを絞ってコメントし,最後に250ワードのライティングとして仕上げることができるのでしょうか.

富山大学・医学部の一般入試に現役で合格する県内高校生の人数は把握していませんが,学校から機械的に与えられるドリルやプリントをこなすだけではかなり厳しいと言わざるを得ません.

中学時代から当塾で学んでいる医学部志望の高校生であっても「Ph.D(博士号)」や「postdoctoral(ポスドク)」などの用語や制度については知らないケースがほとんどであり,授業では英語圏の教育・雇用システムについて解説するところから話を始めることになります.

誤解を恐れずに言えば,海外の高等教育や医学用語に関する知識は必須ではありません.なぜなら,多くの受験生は意識していないと思いますが,実は大学入試には「未知の情報に接したときの対応力・思考力」を問うという重要な側面もあるからです.上記の点について言えば,「Ph.D」や「postdoctoral」について知らなくても,文脈に応じて「その場で想像しながら考える力」も必要なのであり,さらに踏み込んで言えば,そのような「物事を類推・抽象化する力こそが,大学側が見極めたい力」なのかもしれないということです.

医学部を目指す位の向上心がある生徒であれば,説明を聞けば初見の内容でも大抵のことは理解できます.それでも「キャリア・パスの変更等,大人の事情が絡む(しかも海外)」エッセイが読めるようになるにはある程度の時間と労力が必要です.間違っても,指導する側が「リーディングは諦めてライティングに注力しなさい」などと生徒に言ってはなりません.

Covid-19の収束が不透明な中,医療の分野に進み,本気で世の中に貢献したいと望む生徒が多いのは大人として喜ばしいことです.このような生徒たちの思いが叶うよう,授業で精一杯応援したいと思います.志のある高校生は遠慮なくご相談ください.

高校3年生(国内組)の進路が無事決まりました.

ここ数日の間に,高校3年生の受検結果が発表されました.センター試験から私立一般入試,国公立二次試験まで,皆さん大変お疲れ様でした.

さて,今年は高校3年生の志望校や進学先に,これまでとは異なる傾向が見られました.特に,過去に志望者の多くを占めた外国語や国際系の学部以外にも,一部の生徒が医学部や工学部等,理科系を志望し,進学しました.各自の志望や希望については入塾の段階で確認していますが,特に医学部を志望する生徒が一定数入塾してくるというのは,これまでにない現象であり,新鮮な驚きでした.

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過去に社会人枠で医学部を受検する一般人の方を受け入れたことはありますが,現役の高校生で医師を希望する生徒がいなかったこともあり,富山大学や金沢大学等,北陸を中心とする国公立大学の医学部の過去問を詳細に分析する必要に迫られました.

富山大学医学部(一般入試)の過去問は,特に出典も含め細部まで目を通しました.全体的な印象としては,実に興味深い内容であり,多くのことが学べたと思っています.ここでは詳しく触れませんが,私のような部外者が抱くどちらかと言えば保守的なイメージとは大きく異なり,良い意味で裏切られたというのが率直な印象です.同大学医学部の入試問題からは,以下のような出題者のメッセージが読み取れます.すなわち,「既存の学問に対しては敬意を払いつつも,過去の因習や価値観にとらわれず,常に新しい考え方や行動力が身に付くよう,葛藤の中で努力してほしい」ということです.

高校生にはいつも言っていることですが,「入試とは出題者との対話」です.
多くの高校生は,このような「出題者との対話」など考えたこともなく,「傾向」や「対策」といった表面的な方法で入試にアプローチできると思っているようです.高校時代に学校から与えられるドリルやプリントを機械的にこなすだけで満足していることや,入試は要領であり技術であるという考えが社会の一部で流布していることも要因でしょう.しかし,要領や技術を生かすためには,前提として理解しておくべきこともあるはずです.

今年の高校3年生は,授業で説明した指示をきちんと守って受検に臨んでくれました.結果発表後は,笑顔で進路を報告してくれたり,中には手作りの大きなケーキを持参してくれた生徒もいます.当塾で学んだことが,進学する皆さんにとって何らかのお役に立てれば幸いです,毎回欠かさず授業に参加してくださり,本当にありがとうございました.

社会人受講生:国立大学医学部編入試験(一次)合格!

また嬉しい知らせが入って来ました.
3ヶ月間,当塾で学んだ社会人の方が,国立大学医学部編入試験の一次試験に無事合格しました.

当塾は受講生の多くが高校生です.したがって授業内容は,発音・音読練習から読解・英作文,英検やTEAP,留学を希望する生徒の場合はTOEFLの受験対策やエッセイのライティングなどが中心です.

そのような中,3ヶ月ほど前,医学部編入を目指す社会人の方からメールをいただきました.話によると,去年いくつかの大学の編入試験を受験したが合格には至らなかったこと,合否の鍵が英語であること,英語学習で非常に悩んでいるとのことでした.

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面談を行い,いろいろ話をしましたが,本気で医師を目指していることがわかりました.この方は過去に大学を卒業しており,医学部編入は大きなキャリア・チェンジとなります.プライベートな面まで話を伺い,退路を断って行動していることに心を打たれました.

さっそく指導を開始しましたが,いくつか気付いたことがありました.これまでにも,英検のリーディングが苦手という社会人の方々を見てきましたが,そのような方々に共通点した特徴です.

細かな話は控えますが,概ね以下の通りです.

1. 音声に対する意識が希薄である,あるいはまともに音読ができない.また読む速度が遅い.普段リスニングをしていない等.
2. パッセージやパラグラフの構成(センテンスとパラグラフ,パラグラフ同士の関係等)が理解できていない.
3. 設問で正解を得ることを優先する一方,英文そのものが読めていない,あるいは読めた気になっている.
4. 細かな情報は比較的理解できるが,全体の主旨をまとめることが苦手である.

今回受講した方の場合,上記4つのすべてで改善が必要と判断しました.また,多少の手応えが実感できるまで最低3ヶ月はかかると話しました.授業では,まずは高校生と同様,基本に立ち返り,最初に1パラグラフずつ音読し,その後ですべての英文について精読する作業を続けました.

使用したテキストは主に志望校の過去問で,出典はScienceNature等の医学・科学系の専門誌です.学生時代に語学と国際政治学を学んだ私にとっては専門外の内容であるため,私自身も予習に相応の時間を割きました.ただし出題の傾向云々ではなく,あくまでも英文リーディングの観点から指導することに専念しました.

多少の手応えを感じるようになったのは,1ヶ月ほど経ってからです.最初の頃とは異なり,説明の仕方や内容が見違えるように整理されています.成長の跡が見られること,自信を持って続けようと励ますと嬉しそうな表情.本人は,設問の内容や正解の根拠がわかりにくいと感じているようでしたが,もう少し辛抱し,当面は英文リーディングの精度を上げることに専念しようと話しました.

その後はリーディングの精度が上がってきたのが確認できたため,速度を上げる方法を指導しました.英語であれ日本語であれ,特に論文の場合はパッセージ全体を貫く一本の「筋道」があります.微細な情報に煩わされることなく,本筋を読み取るにはどうすればいいのか,頭の働かせ方をトレーニングしました.高校生にも言っていることですが,きちんと読めていれば,全体を読み終わった時に「目の前の視界がクリア」に感じられるはずです.この方の場合も,入塾した頃とは違って,少しずつではありますが,表情が明るくなっていきました.

英作文を除き,最低限の内容は指導できたと判断し,普段通りの気持ちで受験してくればいいと,本人を送り出しました.本人が抱える不安や緊張を全て取り除くことはできませんが,落ち着いて取り組めば必ずいい結果が期待できると思いながら,私も高校生中心の授業に戻りました.

最後の授業から2週間近く経った頃です.久しぶりのメールなので私も緊張しながらiPadの画面をタップしました.第一報は,「***大学の一次試験を通過しました!」です.

文面から,本人の嬉しそうな表情が目に浮かびます.次は二次試験ですが,面接でプレゼンをする必要があるとのことです.ここから先は本人次第です.頑張ってください.