英文を読んでいると、また語彙を学習していると、意味の似た単語に出くわすことがあります。これらは通常、同義語と呼ばれます。これらの同義語をどのように使い分けたらよいのか、考えてみましょう。特に語学・国際系を目指す高校生は、単語の調べ方、辞書の使い方として参考にしてください。
A. 最初にシソーラス辞典でおおまかな語義の範囲を確認します。
- enough:
- sufficient:
- keep:
- retain:
sufficient, adequate, ample, the necessary…
enough, adeauate, plenty of, ample…
retain, remain, persist in, detain…
keep, maintain, remember…
以上から、”enough”と”sufficient”, “keep”と”retain”は同義語であると判断できます。
B. 次に、英英辞書で頻度情報を確認します。
この場合は以下の辞書が役立ちます。
LONGMAN EXAMS DICTIONARY: PAPER+ROM UPDATED (L Exams Dictionary)
- enough:
- sufficient:
- keep:
- retain:
[S1][W1]
[AC][S2][W2]
[S1][W1]
[AC][S2][W2]
以上から、以下のような違いがあることがわかります。
- “enough”と”keep”は話し言葉および書き言葉で主に使用され、頻度は1000語レベルである。
- “sufficient”と”retain”は論文等のアカデミック英語で主に使用される。
話し言葉および書き言葉でも使用され、頻度は2000語レベルである。
C. 最後に、なぜこのような同義語が存在するのか確認します。この場合、語源情報が役立ちます。
- enough:
- sufficient:
- keep:
- retain:
[初12c以前:古英語genog,genoh.[e-(完了形辞) + nough (得る,取る=充分に獲得した)]
[初14c:古フランス語sufficientまたはラテン語sufficiensより.suffice (十分である) + -ent (性質・状態を表す形容詞語尾)]
[初12c以前:古英語cepan (観察する,注意を促す,つかみ取る]. 語源不詳
[初15c:ラテン語retinere (持ち続ける)より. re-(後ろに) + -tain(保管する, 保持する).
以上から、以下のことがわかります。
- “enough”と”keep”は英語本来の単語である。
- “sufficient”と”retain”は外来語 (ラテン語) である。
ラテン語経由の単語には学術用語が多いのが特徴です。したがって、大学などの学術論文やレポートでは、”enough”や”keep”よりも、”sufficient”や”retain”を使用するのが適切であると言えます。
海外の大学・大学院に留学する場合は、特に上記で紹介したLONGMAN EXAMS DICTIONARY: PAPER+ROM UPDATED (L Exams Dictionary)は大いに役立ちます。一度目を通してみてください。