当塾の指導方針について: 中学生編

新年度の開始にあたり、当塾の基本的な考え方・指導方針についてお知らせします。

1.当塾の基本的な考え方

当塾が行っているのは「英語教育」です。当塾が考える英語教育とは、「英語を正しく習得し、広く世界に目を向けること、良質な素材を使用することで複眼的な物の見方を学び、自分の頭で考える習慣を養うこと」です。

英語を正しく読み、聴き、書き、話すことができるようになるには、方法論が適切でなければなりません。英語習得に王道はないといわれますが、当塾では適切な方法はあると考えており、それらの方法を日々実践しています。ブログでは時折、早期の英検合格者の経験談を掲載していますが、彼ら・彼女らが成功を収めた背景には、ブログでは詳細をお知らせできない、長年の経験で培った方法論があります。

また、中学生には、英語を身につけることで視野が大きく広がること、様々なものの考え方が世界には存在することを学んでほしいと思います。中学生活に悩みはつきませんが、広く世界に意識を向けながらそれらの悩みと向き合ってほしいと願っています。

2.CEFRに基づいた授業内容

一般的に、富山では複数の私立高校の入試対策が必要ないため、中学時代の3年間を思う存分英語力の強化に費やすことができます。当塾では、このメリットを最大限生かすことができるよう配慮しつつ、カリキュラムを組んでいます。

またこれも富山の大きな特徴ですが、実用英検をベースに英語力を測る傾向が強いようです。一方、国際的な視点で見た場合、近年ではEUが開発したCEFRをもとに多くのカリキュラムやテキストが策定・作成されています。検定試験では、IELTSやケンブリッジ英検が、CEFRとの間で高い整合性を保っています。

グローバルな基準とローカルな基準のどちらに軸足を置くかは悩ましい問題です。特に実用英検は、これまでは国内で独自に発展してきたという経緯があります。しかし最近では「英検CSEスコア」の策定等、実用英検の側でCEFRへの歩み寄りとも思える動きがみられます。私見ですが、この動きは今後も続くものと思われます。

このような観点から、当塾では、国内の価値基準や学習指導要領に配慮しつつも、基本的にはCEFRを中心にカリキュラムを組み、授業を進めています。CEFRをベースにすることで、生徒や保護者は、自分や自分の子供が今どのレベルで学習しているかが把握できます。さらに、CambridgeOxfordなど海外の出版社が開発した良質なテキストを使用することができ、これは大きなメリットであると考えています。

中学入学時(または小学6年時)から指導を開始した場合、個人差はありますが、中学卒業時までにCEFRのA2 – B1レベルに到達するよう指導します。実用英検では準2級 – 2級レベルです。したがって、英文法に関しては、高校の内容を一部先取りして学ぶことになります。英文法は、当然ですが中学生のうちから体系的に習得しなければなりません。講師が日本人であること、学校の進度や学習指導要領の内容を理解していることから、CEFRを基準にしても、日本人英語学習者にとって必要な文法知識の取りこぼしが生じることはありません。

具体的な指導においては、音声指導を非常に重要視しています。授業ではシャドーイングやディクテーション等、大人でも一人で取り組むことが困難なトレーニングをたっぷり行います。この効果は絶大で、すべての生徒がリスニングを得意と考えるようになります。通常は、このような音声・筆写指導をたっぷり行いつつ、3年生の夏休み・2学期以降は高校入学後を視野に入れ、本格的な英文精読、英作文指導に移行します。

3.小学生の指導について

当塾は、小学6年生以上を入塾の対象としています。これは、代表者が低学年の指導経験がないこと、低学年の指導には高学年とは異なるアプローチが必要だと考えているためです。6年生未満の生徒の保護者からメールで問い合わせをいただくことがありますが、その場合は、個人的に持ち合わせている知識の範囲内でお答えするようにしています。あくまでも参考程度にとらえていただければ幸いです。メールでの問い合わせは学年に関係なく随時受け付けています。遠慮なくお問い合わせください。

中学生 の 英語学習 で大切なこと(英検含む)

メールで問い合わせをいただくこともあることから、英検 対策も含め、中学生 の英語学習 に対する考え方について触れておきます。

1. リベラルアーツの考え方を重視

リベラルアーツとは、世界には多様な考え方や物の見方があることを知り、それらをバランスよく学びながら、自分自身の物の見方を身に着けるための学問のことです。中学生の場合、英語の習得と日本語での知識の習得は車の両輪と同じであり、両方の側にバランスよく空気を入れてあげる必要があると考えます。

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コミュニケーション志向の高まりと共に、今の日本、特に大人社会では英語に対する実用主義的・機能主義的な捉え方が支配的です。すでに一定の知識を習得している大人であればこのようなアプローチでもかまわないと思いますが、知識の習得過程にある中学生に対して大人と同じアプローチや価値観をそのまま用いてよいかどうかについては、慎重な判断が必要です。なぜなら、挨拶や会話表現を学ぶことは大切ですが、それらと同じくらい大切なのは伝えるべき「中身」だからです。「中身」がなければ、相手が日本人であれ外国人であれコミュニケーションは長続きしません。英検の上位級を受験する場合は、ITや国際関係、環境問題などに関する知識、そしてこれらの問題に対する意見が求められます。普段からこれらの問題について自分自身で考えていなければ、日本語であれ英語であれ意見を述べることはできないでしょう。

また現行の教育制度の下では、生徒の英語力が最も大きく問われるのは、大学入試の時点です。近年、一部の大学入試に出題される読解問題が長文化・難化する傾向にあります。言うまでもなく、日本語で読んでもわからない・知らない内容は英語で読んでもわかりませんし、受験生が一番苦労するのも読解問題です。したがって、将来的な大学入試を見据えた場合、リスニングやスピーキングなど音声面の学習と、国語力も含めた読解力や日本語での知識の習得をバランスよく組み合わせることが大切になります。

このようなことから、普段の授業では、通常学習以外にGraded Readers等のレベルに応じたテキストを使用して生徒の好奇心を刺激し、興味・関心を自分で発見できるよう配慮しています。Graded Readersには様々な会話表現・場面が含まれているため、どのような「コンテクスト」でどのような会話表現が使われるのかが「実感」できるという利点があります。このような「実感」を積み重ねることで、読解力が向上し、読書の習慣が身に付くと考えています。

2. 授業は原則1対1のマンツーマン指導

中学生であれ、高校生や社会人であれ、授業は原則1対1のマンツーマンで行います。友人同士で受講したいとの申し出があればグループ授業も可能です。また、集中授業については、グループ授業になる可能性もあります。いずれの場合も、面談で本人や保護者の考えをお聞きした上で決定します。

3. 一人一人で異なる授業内容

個人授業がベースであるため、授業内容は一人一人異なります。

3a.中学卒業までに英検上位級(実用英検準1級等)を取得したい等、高い目標を掲げる生徒もいます。当アカデミーでは、このような高い目標を持つ生徒の意志を最大限尊重します。このような場合、学校の授業だけで目標を達成することは難しいと思います。また通常授業以外にもGraded Readersや日本語書籍の読書を通し、ハイレベルな知識がバランスよく身につくよう配慮しています。

3b.先を急がず、学校のペースに合わせた授業も可能です。部活を頑張りたい場合も、家庭での学習時間を確認しながら授業計画を立てます。大会が近い場合は、宿題を減らしたり出さない等の配慮をする一方、時間に余裕がある場合はたっぷり取り組んでもらいます。ちなみに、過去に英検2級等、上位級に合格した生徒も含め、ほとんどの生徒が運動系の部活に所属しています。

4. 英検 は進度に応じて受験

中学1年生の場合、小学時代の学習進度や生活環境が一様ではありません。高い目標を自ら表明する生徒もいれば、とりあえず楽しそうだから英語を習いたい、あるいは学校の勉強や部活と両立させたいという生徒もいるでしょう。

ここではお母さんの意識や考え方も大切です。
たとえば、中学卒業時までに英検上位級を取得させたいとお母さんが考えている場合、英検対策と学校の授業や部活、高校受験対策を両立させることが本人にとって可能かどうか、過度な負担にならないかどうか、よく考えていただく必要があります。

英検上位級を目指すには、なによりもまず本人の明確な意識、そして知的・体力的スタミナが必要です。したがって、特に小学生時代をのびのびと過ごした生徒の場合、彼・彼女にいきなり高い目標を課し、意識改革を求めることが適切かどうか、慎重に見定める必要があります。

通常、英検対策は集中授業で行います。正式な入会前に集中授業のみに参加することも可能です。学習相談等、お問い合わせはいつでも歓迎です。遠慮なくご連絡ください。

Graded Readersを授業に取り入れて読解力の向上を図る

コミュニケーション志向の高まりと共に、英語学習でもスピーキングに対する意識が高まっています。当アカデミーでも、すべての生徒が英検を受験することから、毎回の授業と2次試験前の両方でスピーキングの練習をします。

一方で、今の日本の受験環境を考えると、4技能の中で一番重要なのは読解力です。大学受験、特に難関学部では出題される英語の長文化に拍車がかかっており、難易度も上昇しています。この点からも早い段階から国語力も含めた読解力をつけることが重要になります。

このような認識の下、普段の授業では生徒が気軽にリーディングに取り組めるよう、さまざまな工夫を凝らしています。

一例として、Graded Readersその他、和書・英書さまざまな書籍にいつでもアクセスできる環境を整え、ふだんの授業でも積極的に取り入れています。

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日本語であれ英語であれ、言葉というのは文脈(コンテクスト)の中で初めて命を持ちます。ドリルで文法を学び、テスト対策を行うことはもちろん重要ですが、それだけでは不十分であり、場面や状況といった生のコンテクストまで生徒の意識を向けるようにしなければなりません。

読書に対する姿勢は家庭環境が大きく影響します。ただし、過去に読書の習慣がない場合でも、カラフルな絵柄のテキストを見せるとほとんどの生徒は興味を示し、読書の習慣がついていきます。子供が本来持っている好奇心が開花するということでしょう。

授業では生徒のレベルや興味関心に応じて何冊かGraded Readersを選び、ゆっくりとしたペースで読み合わせを行い、互いに楽しく感想を述べたりします。

Graded ReadersにはCDも付属しており、ライティングやリスニングでも使用します。当アカデミーの生徒は、リーディングだけではなく、通常、中学1年終了時点で、シャドーイングやリテンションを応用したスピーキングやライティングの方法を一通りマスターします