実用英検(2020年度第1回一次):準2級〜準1級まで合格.

2020年度第1回一次試験の結果が英検協会HPで確認できます.
すでに一部の生徒や受講者,保護者から結果を知らせるメールをいただいています.

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準1級に合格した生徒は,一次試験受験後は「あまり手応えがない」と言っていたのですが,見事合格.準2級に合格した中学生は,事前にたっぷり時間をとって取り組んだライティングの添削が功を奏したようです.

授業では,一次試験の見直しと二次試験に向けた面接トレーニングを行います.いつも言っていることですが,二次試験では面接官ときっちりコミュニケーションをとることを最優先して臨んでください.そうすればおのずと結果はついてきます.

実用英検(2020年度第1回)が無事実施されます.

コロナ・ウィルスの影響もあり実施が危ぶまれましたが,2020年度第1回実用英検が今週末,無事実施されます.

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今回当塾からは3級から準1級まで,中学生から社会人まで一次試験に臨みます.普段の授業では,リーディングからリスニング,ライティングまでたっぷり学習・トレーニングを積んできました.

初回受験で不安を感じている人もいると思いますが,自信を持って臨んでほしいと思います.

また,いつも言っていることですが,一次試験が終わったら,記憶が鮮明なうちにライティングの原稿を再現しておきましょう.本番環境で仕上げた原稿内容は,現時点での実力や癖を正確に反映しています.

二次試験では,一次試験で書いた内容を元に質疑応答の原稿を事前に作成します.

休校期間中に生徒は何を学んでいるのか

コロナ・ウィルスの収束が見えない中,富山を含めた全国の学校では引き続き休校措置が執られています.当塾は4月中旬から全ての授業をSkypeで実施していますが,今のところ大きなトラブルもなく順調に授業を進めることができています.生徒や保護者の皆様のご協力にあらためて感謝申し上げます.

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さて,当塾では日頃から「視野を広く外に向ける」よう,指導しています.特に今は全国的な外出規制が敷かれており,気軽に本屋にも行けない状況です.学校からはプリントやドリルといった作業を課されているようですが,せっかくの貴重な時間です.そのようないわば義務として取り組むべき学習を終えたら,自分の興味・関心に応じた「学び」を自分自身で模索するのも大切ではないでしょうか.

そのようなささやかな目標の下,生徒には以下のような指示を出したのは,前回のブログでもお伝えした通りです.

1.5冊から10冊程度本を選んで目を通すこと,
2. 数本の洋画やTEDを観ること,
3. 洋楽を聴き,生の英語を堪能すること.

この度,生徒からいただいたメモを整理し,一部,お伝えします.
中には私から目を通すよう指示した図書もありますが,なかなかバラエティーに富んでいて面白いですね.

1. 書籍

・[中学生からの哲学超入門]
・[CD付 シャーロック・ホームズ傑作短編集]
・[フィンランドの教育はなぜ世界一なのか]
・[応仁の乱]
・[知の体力]
・[量子とはなんだろう 宇宙を支配する究極のしくみ]
・[ヴェニスの商人]
・[IT(スティーブン・キング)]
・[楽園をめぐる闘い: 災害資本主義者に立ち向かうプエルトリコ]
・[CRISPR (クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見]
・[ジェフ・ベゾス 果てなき野望]
・[Oxford Bookworms],その他.

2. 映画

・[Mission: Impossible (Fallout)]
・[24 (Twenty Four]
・[Stand by Me]
・[英国王のスピーチ]
・[IT(スティーブン・キング)]
・[オペラ座の怪人]
・[Mamma Mia]
・[Dream Girls]
・[荒鷲の要塞],その他.

3. 音楽

最近の高校生は,音楽,特に洋楽を聴く頻度が少ないと感じます.私が筋金入りの洋楽フリーク(The Beatlesに加えて,特に1970-1980年代の米国ポップス,欧州系ハードロック)ということもあり,生徒には常日頃,音楽を通して英語の音感・語感を養うことのメリットを話しています.

本来であれば,高校生の方から「最近はこんな面白いアーティストがいますよ」と教えてほしいくらいですが,あまりそのような話にはならず,少し残念に思っています.

音声面での英語学習という点では,歌詞がシンプルで覚えやすい,発音がきれい,歌唱力が優れている等の観点から,以下のような少し前の時代のアーティストがお勧めです(デジタル技術が今ほど進んでおらず,実力が如実に表れます).

The Beatles, ABBA, Olivia Newton John, The Carpenters,John Denver, Simon & Garfunkel, etc.

生徒からは以下のような返事が返ってきました.

Ariana Grande, Maroon5, Michael Jackson, One Direction.

少ないですね.日本人アーティストをよく聴くという返答もありました.日本人アーティストの音楽が優れているのは当然です.ただしあくまでも英語学習という観点から見ると,耳から入るインプット量が少ないと思います.

以上,休講期間中に生徒がプリントやドリル以外にどのようなことに興味を持って取り組んだか,その一端をお知らせしました.皆さんの参考になれば幸いです.

ピンチはチャンス:今回の危機は自分の学びを再考する貴重な機会です.

コロナ・ウィルスの影響により,富山県内でも学校の休校が続いています.
このような状況下では,テレビ報道の影響もあり,学習が遅れたり運動不足で生活が不規則になる等,マイナス面ばかりに目がいきがちです.

幸いなことに,当塾は個人授業のため,授業形式を「対面授業」から「Skype授業」に変更した以外は,これまでとなんら変わることなく授業を進めることができています.

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毎回の授業では,1週間の生活・学習状況についてその都度確認することができますが,そこから判断する限り,生徒たちも比較的規則的に生活できているようです.

そのような中,生徒たちには以下のことを話しています.つまり,今回のようなパンデミックは大人も含めてほとんどの人が未経験であり,今人類は,世界が大きく変わる変革の時代にいるということです.

歴史を見ればわかるとおり,戦争や地震等,多くの場合,変化は悲劇と共にやってきます.これは悲しいことではありますが,人間の歴史というのはそういうものです.

高校2,3年生にもなれば,多少世の中のことも見えてくるはずですし,またそうでなくてはなりません.このようなときに,しかも2ヶ月近くにわたって学校の授業がないというこの時期に,自分の内面と対話し,どのように過ごすか考えてみること,そのための自由が得られたことは,逆説的ですが,貴重な機会を与えられたと捉えることも可能ではないでしょうか.

学校からは,相変わらず,ドリルやプリント中心の学習をするよう指示されているようです.このような学習については,以前にも増して,生徒からの不満を耳にするようになっています.すなわち,このような「ドリル作業」には多くの時間がとられることから,高度な学習や読書の時間が十分にとれないという不満です.例えば,すでに英検準1級を取得しているにもかかわらず,ドリルやプリントを提出しなければならない,もっと高度な英文を読みたい,世界のことを知りたいという強い思いがあるのに,そのための時間がとれないというという悩みです.

そのような生徒たちには,プリントやドリルを使った機械的な「作業」は早々に済ませ,教科書その他の英文をじっくり読み「自分の頭で物事を考える学びの時間」をつくるようアドバイスをしています.例えば,高校3年生の教科書は大変優れており,高校生だけに読ませるにはもったいない内容です(社会人の英検受験者にも購入を勧めています).富山市内の一部の高校で採用されているUnicorn 3 English Communicationは素晴らしいですね.過去に世界で話題になった著作からの抜粋が収められており,一部はTEDで著者のスピーチを見ることも可能です(例えば,Lesson 9: The Power of Introverts by Susan Cain),

また,一部の生徒の授業では,英検1級の読解問題に加えて科学雑誌ScienceThe New York Timesのエッセイ,さらにはコロナ・ウィルスに関する最新情報を一緒に読んでいます.実力と向上心を兼ね備えた高校生であれば,このような一流紙レベルの英文を読み,自分でコメントを作成するレベルまで力をつけることは十分可能です.参考までに付け加えると,一部の大学や学部の入試では,このような海外一流雑誌からの出題は当たり前です.

当塾では,今回の休校期間中に,5冊から10冊程度本を選んで目を通すこと,数本の洋画やTEDを観ること,洋楽を聴き,生の英語を堪能するよう指示しています.生徒たちの反応は上々であり,皆学校のプリント作業は早々に済ませ,自分なりの「学び」を堪能しています.志が高い生徒の場合,大人たちの心配は杞憂です.すべてを管理するのではなく,生徒を信じて時間を与え,「自分で考えて学習・探求しなさい.疑問点があれば聞きに来なさい」とアドバイスすることも,時には大切な教育であるように思います.

中学2年生:準2級(実用英検:2018年度第2回),二次試験満点合格!

実用英検(2018年度第2回)二次試験の結果が発表され,今回も喜びの声が届いています.

夏休みから集中授業を受講していた中学2年生の生徒が,無事「準2級」に合格しました.しかも二次試験が「満点」です.これまでにも多くの合格者を出してきましたが,二次試験の満点は初めてです.本当におめでとうございます.

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ちなみにこの生徒は当塾入塾前に準2級の一次試験に2回不合格になっています.つまり,決して受講前から合格が約束されていたわけではありません.2018年度第1回のCSEスコアが「GP2 -3」であったことから,面談では,他の生徒の場合と同様,本当に努力する気があるのかどうか,まずは口頭で確認しました.

予想はしていましたが,授業開始早々あることに気づきました.つまり,中学入学後に入塾する他の生徒と同様,音声トレーニングの経験がまったくないということです.単語,文章,段落全てのレベルで音読がぎこちなく,強勢や抑揚に対する感覚や配慮が不十分です.最近の多くの中高生がそうであるように洋楽などの音楽もあまり聴かないようです.小学生時代からイギリスのハードロックを聴きまくり,ギターをかき鳴らしていた私とは大違いです.真面目なのはいいことですが,語学の習得は机上の「勉強」だけでは物足りないし,面白くないと思います.

また,二次試験は,市販の対策本を参考にするだけでは高得点は得られません.理由については授業で説明しています.とくに受験級が上がるにつれて,市販テキストの解答例を暗記しても,実際の面接で上手に応用できないケースが多くなります.今回の生徒の場合は,なんとか合格レベルに到達したいという本人の思いを信じて授業を開始したというのが率直な気持ちです.

ところが,実際に授業を開始すると,早い段階で本人が持っている優れた資質が顔を出し始めました.それは,この生徒がとにかく素直に指導に従ってくれるということです.英語力を向上させ,英検であれ大学入試であれ,合格という目に見える果実を得るには何が必要かと問われれば,一つは,性格面での「素直さ」であると答えます.簡単なこと,負担のないことでも,言われたことができなければ,英語であれ何であれ,力がつかないのは当然です.

合格は通過点にすぎません.富山の中高生は素直でおっとりした生徒が多い印象ですが,一方,音楽でも何でも,もう少し外のこと,世界のことに目を向け,関心を持ってほしいですね.自宅で学校の仲間とLINEするのも楽しいでしょうが,洋楽を聴いたり,たまには学校の課題のことは忘れて,英字新聞等,海外の情報に直に目を通すだけでも,世界を見る際の視野が大きく広がります.周りとの関係を大事にしつつも,「和して同ぜず」で,自分なりの学び方も見つけましょう.

実用英検(2018年度第1回)一次試験,嬉しい結果となりました.

実用英検(2018年度第1回),一次試験の合否が判明しましたが嬉しい結果となりました.以下の通り,今回は3級から準1級まで合格者が出ています.

  • 準1級:高校2年生
  • 2級:高校2年生,中学2年生(リスニング満点!
  • 準2級:中学2年生,小学2年生!
  • 3級:小学5年生
  • いつも通り,リスニングの平均正答率は9割を超えており,2級を受験した中学2年生は満点を取得しています.

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    当塾では指導の中心を高校生に設定していますが,ここ最近は英検上位級に合格したいという中学生からの問い合わせや要望が増えています.入塾前に2回3回と不合格になり,当塾の門を叩く生徒もいます.そのような生徒たちが満面の笑みで合格を報告する姿は,大きな励みになります.もちろん,何事にも完璧はありません.指導者の立場で言うと,他ならぬ私自身が楽しく学び続けること,またそのような姿勢を見せることが何よりも大切だと考えています.

    あと,今までブログで触れることはなかったのですが,実は当塾には小学2年生の生徒がいます.小学生しかも低学年の指導経験がなかったため,当初は受け入れるかどうか迷ったのですが,お母さんとのやりとりの中で語学習得に対する価値観が共有できると判断し,かれこれ1年以上指導を続けています.ちなみに指導は月に1回ペースです.

    この生徒の場合,日本語・英語を問わず,読書に対する意欲がとても自然で,かつ強いことが特徴です.授業では,日々読んだ本について報告してもらい,お母さん同席のもと音読や書き取りをしています.今はさまざまなGraded Readersが入手できるので,楽しみながら力をつけることができます.英語を早く学ぶことで母語である日本語に悪影響が生じるのではないかという懸念も耳にしますが,この生徒の場合,日本語による圧倒的な読書量があるため,そのような心配は杞憂に終わるのではないかと思います.

    また,毎年中学2年生の2級合格者がいることから,高校生については,標準的な到達目標を準1級に設定しています.個人的にも2級程度では物足りないだろうというスタンスですので,志が高い高校生の入塾は大歓迎です.

    高校生の場合,英語だけに集中することができない中,皆よく頑張っていると思います.部活や学校の課題で忙しく,精神的・肉体的に不安定になり,受験を躊躇することもあったと思います.そのような中,気持ちを奮い立たせて受験会場に向かうという選択が結果的にプラスに働いたのだと思います.二次試験は高校の期末試験と重なるので,今回受験するかどうかは自分で決めて良いと話しています.もし行くのであれば,結果を気にせず,面接官とのやりとりを楽しむつもりで臨んでください.

    中学1年生 実用英検準2級 合格!

    2017年度第2回実用英検二次試験の結果が発表されました.今回も当塾では中学生と高校生が受験しました.

    結果は,中学1年生と高校1年生が準2級,同じく高校1年生が2級にそれぞれ合格しました.これらの生徒はすべて初回受験,しかも一次・二次共にストレートで合格しています.準2級に合格した中学1年生のCSEスコアは「GP2 +4」でした.ちなみにこの生徒は英検の受験自体が初めての経験です.本当によく頑張ったと思います.

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    準1級については高校1年生が受験しましたが,残念ながらあと一歩合格に至りませんでした.しかし,日々学校の課題をこなし,英語だけに集中できない中,時間を捻出して学習・トレーニングに取り組む姿勢は大いに評価すべきであり,CSEスコアも合格圏内です.自信をもって学習を続けましょう.

    授業では,各級の試験内容にはっきりとした「型と傾向」があることを細かく解説しています.ただし当塾では英検対策前に最低半年から1年間は地道に語彙や精読に取り組み,音読や写筆,辞書を使った例文の書き取りをたっぷりこなしてもらいます.要は,順番をはき違えないで地道に取り組むことが大切ということです.

    今回残念な結果に終わった人も,ゴールは間近です.授業で学んだ手順を無意識のレベルで再現できるまで,今後も一緒に楽しく学習・トレーニングを続けましょう.

    会員連絡 (171010): 2017年度第2回実用英検の解説をします

    2017年度第2回実用英検の一次試験が無事終了しました.
    当塾でも,4級から準1級,1級まで,小学生から高校生が受験しました.

    問題内容については今詳しく分析しているところですが,やはり1級は非常に興味深い内容でした.
    リーディングでは第一次大戦時の海軍大臣で後に英国首相となるW.チャーチルに対する評価,2016年のアメリカ大統領選における投票予測,さらにはAI (Artificial Intelligence: 人工知能) 等がテーマとして出題されました.

    ライティングのテーマはずばり「移民受け入れの是非」でした.移民問題は,過去1年間そして現在も,国際政治,特に欧州の国々において国を分断しかねない大きな問題であり続けています.このことから,普段から主体的に世界の動きを追ってる受験者にとっては,まさに「当然予想されるテーマ」の一つだったと言えます.あまりにも直球勝負のテーマであることから,逆に驚いた人もいるかもしれません.

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    実用英検の「実用性」とは何か,受験者は何を求められているのか.主体的に「出題者と対話」する意識があれば,やるべきことは自ずと見えてきます.特に準1級レベルを目指す高校生がそうですが,実用英検の受験勉強を表面的な「対策」や「解法」の観点からしか捉えていない場合,歴史や先端科学等,何よりもまず自分の知識不足を痛感するはずです.英字新聞一つ自分で購入しないで,欲しい情報が空から勝手に降ってくるかのように考えている人は,まずは普段の生活を見直すことから再出発しましょう.

    授業では,1級と準1級について詳細な解説を行う予定です.今回受験した人は,問題冊子と,受験後に再現したライティングの原稿を持参してください.

    英語力をつけたい高校生は辞書を使ってボキャビルしましょう

    夏休みが終わり,中高生は普段の学校・学習生活に戻りました.
    それにしても今年は忙しい夏でした.通常授業以外に集中授業の申込者が増えたのと,プライベートで用事が絶えなかったため,特に8月中は息つく暇もありませんでした.

    さて,今年の集中授業は,受講者のタイプに特徴がありました.具体的には,中学生で実用英検の上位級を目指すケースが大きく増加しました.今年,集中授業に参加した生徒は全て,準1級または1級の志望者です.彼ら・彼女らは全て2級・準1級を取得済みのため,当然ですが次の目標は準1級・1級になります.中には,普段は海外(英語圏)に在住しており,帰国時のタイミングに合わせて姉妹で授業に参加してくれた生徒もいます.皆モチベーションが高く,張り合いのある授業ができたと思います.

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    そのような意識の高い生徒たちですが,彼らを見ていて気付いたことがあります.それは,ほとんどの生徒が辞書を上手に使いこなせていないということです.もちろんこれは彼らに限ったことではありませんが,実力のある彼らですらそうなのですから,普通レベルの生徒については推して知るべきです.

    当塾では,中学・高校入学に合わせて一人一人辞書選定のアドバイスを行なっています.実は,今年は新高一年生が一定数いたことから,どの辞書を購入するか,生徒と一緒に考えるつもりでいました.ところが,高校入学後の最初の授業で,複数の生徒がG5 (ジーニアス第5版) を持参したのには驚きました.なんでも学校指定テキストのセットを本屋に買いに行ったらG5が入っていたとのことです.

    辞書は靴や衣服と同じです.靴や衣服は成長に合わせて買い換えますが,こと辞書についてはこのような基本事項が必ずしも常識とは考えられていないようです.成長期の子供に大人の衣服を与えることが適切とはいえないのと同様に,辞書の使い方を身につけていない生徒にいきなりG5のようなハイレベルな辞書を与えることが良いことなのかどうかよく考える必要があると思います.

    1. 紙の辞書と電子辞書を上手に使い分ける

    世の中で辞書を最も多く使用する人たちはプロの通訳・翻訳者だろうと思います.長年翻訳の世界にも身を置いてきたからわかるのですが,辞書は仕事上の相棒であり,欠かすことはできません.通訳や翻訳の世界ではよく言われることですが,辞書は「お金で買える実力」です(「辞書を信じるは馬鹿,引かぬは大馬鹿」という言葉もあります).私の場合,パソコンに導入する電子辞書を含めると,自腹で購入した辞書は相当な数に上ります(人に譲ってもらったものも含めると100冊近くある).

    日本の辞書のレベルは種類,内容,装丁,どれをとっても世界でトップレベルです.電子辞書もしかりです.英語学習者にとっては天国ですが,一方でどれを選んでいいかわからないという人も多いと思います.このような中,理由はわかりませんが,本屋に行けば一番目につくところに置いてあるのはG5,電子辞書に多く搭載されているのもG5という状態です.したがって,高校生の多くは何も考えないままG5を購入し,3年間苦行に近い状態で我慢しながら使うか,電子辞書で単語の意味だけをさっと見てパタンと画面を閉じてしまうことを繰り返します.

    当塾では,在籍しているほぼ全ての高校生が電子辞書を所有していることから,紙の辞書はG5ではなく,収録語数が5-7万語レベルで,基本語の見出しが大きく,説明が丁寧になされている辞書を使うよう指示しています.具体的には,まずは収録語数の少ない辞書で基本語を徹底的な反復を通して習得し,その後に,より上位の辞書あるいは電子辞書を併用します.辞書の使い方については授業で説明します.

    2. 基本語,特に基本動詞を習得する,しかも意識的・計画的に

    当塾では,多くの場合中学在学中から計画的に辞書を使用します.具体的には,学習到達度を見極めた上で基本語,特に「基本動詞」の項目を読み込み,ノートに例文を書き込んでいきます(途中から前置詞や関係詞,接続詞も含む).基本動詞の数は21個としています.基本動詞はいわば英語の「心」であり,ここを体に染み込ませることで後の学習がスムーズに進みます.高3にもなれば,平均レベル以上の高難易度の英文を読ませますが,途中入塾の場合も,まずは辞書を使った基本語の読み込みと書き取りに取り組んでもらいます.このような実践的な学習を想定した場合,G4・G5レベルの辞書は余計な情報が多く不便です.

    3. 必修語彙を中心に,辞書の見出しを意識的に読み進める

    次の段階では辞書の見出しに記載されている「*」マークを見ながら,ペンでチェックを入れながら意味や例文を読み進めます.普通は1回目は見出しの意味,2回目は英文,3回目は和訳まで含めて目を通します.ちなみに,中学必修語彙は約1,300語,同じく高校必修語彙は約2,500語です.これらの語彙はまさに基本語であり,真っ先に身につけるべき語彙です.多くの高校では入学後に市販の単語集を使うよう指示されますが,当塾ではこのような単語集を使う前に,あるいは並行して上記の作業に取り組みます.早い生徒だと,1ヶ月もかかりません.

    4. 辞書に勝る単語集はない

    本屋に行けば様々な単語集が所狭しと並んでいます.しかしそれらのいずれも辞書を超えることはできないと思います.基本的に市販の単語集は用途が限られています.英検用であれば英検,大学入試用であれば入試データをもとにしています.これらは基本的に短期間で目的を達成するために使用するものであり,当塾でも英検受験者には『PASS単語』を使うよう指示します.ただし,受験まで一定の時間がある高校生には,まずは腰を据えて辞書に取り組むよう指導します.

    英和辞典に限っていえば,それらのほとんどは大学の先生たちが心血を注いで編集し,長い年月を経て受け継がれてきたものです.このため,一時的な流行には流されない安心感があります.大切なのは,何万もの単語が掲載されている辞書の使い方がわかればいいだけの話であり,それは指導者である私の役目だと考えています.

    実用英検 (2017年度第1回): 方法が適切であれば大きく飛躍できることを中学1年生が証明

    この度行われた2017年度第1回の実用英検で、中学1年生が素晴らしい結果を残してくれました。

    この生徒は入塾前に2回 (2016年度)、3級を受験していますが残念な結果に終わっています。そこで去年の年末にお母さんと一緒にカウンセリングのために来塾しました。当時は小学6年生であり、勉強以外にスポーツを頑張っている礼儀正しい生徒という印象でした。

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    CSEスコアは「G3 -1」なのであと一歩です。ただし大問1 (語彙) のスコアが不十分なのと、リスニングやディクテーションを含めた音声トレーニングを普段行なっていないこと、中学卒業レベルの文法学習も必要なことから、冬の受験 (2016年度第3回)は勧めずに、2017年度第1回を見据えて学習するよう提案しました。具体的には、当塾での学習は3月開始とし、それまでに自宅で『PASS単』を進めておくよう指示しました。

    3級は2017年度から出題形式に変更があり、「ライティング」が課されるようになりました。本人やお母さんはこのことに不安を抱いているようで、当初はライティングのない (ただし整序問題はある) 2016年度第3回を受験した方がいいのではないかとのことでした。しかしいくつかの理由を説明し、考えを改めていただくようアドバイスしました。

    ライティングについては、2016年度から2級ですでに出題されています。去年2級を受験した当塾の生徒 (中学・高校生) は全て1次・2次をストレートで合格していますが、彼ら・彼女らは皆ライティングで高得点を得ています。もちろん、リーディングやリスニング等全てのパートで得点が伸びているのですが、ライティングでは全ての生徒が合格者の平均を大きく上回るスコアを出しています。

    現行のCSEスコアでは、ライティングはリーディングやリスニングと同じ配分 (3級の場合はR:550, L:550, W:550) です。したがって、リーディングやリスニングの学習を続けつつも、ライティングで高得点を得ることが、確実に合格するための一番の近道になり得るのです。しかし同時に、大人を含めた多くの日本人受験者はライティングに苦手意識を持っているため、対策段階で適切なライティング指導を受けておくことがとても重要になります。

    さて、本生徒の場合、授業開始 (2017年3月) 時点での英検一次バンドは「G3 -1」でしたが、今回受験した一次試験の結果はどうだったか。

    「G3 +10」

    驚きました。一気に「11段階」アップです。CSE上の合格基準は「1103」でしたが、それをはるかに超え、準2級の合格基準である「1322」も超えてしまいました。さらにライティングは満点「W:550」でした。まさにGood Job! です。

    ちなみに、2016年度第2回で2級に合格した中学2年生も、「G2 -1」から「G2 +10」へと「11段階」アップし、準1級の合格基準を超えて合格しています。

    英検は結果がはっきりわかるので、英語学習のモチベーショインになります。ただしいつも言っていることですが、大事なのは合格後です。英検という「大会」が終わった後の生活でその人の語学に対する姿勢がわかります。

    今回の生徒の場合、準2級受験を視野に入れつつも、夏休み中はGraded Readersの読書で「英語生活」を堪能してもらうと考えています。