英語習得では、一定量の書き取りは欠かせません。
特に、小学校高学年から高校生の場合、早い段階で書くことに対する心理的な抵抗を払しょくする必要があると考えています。
普段授業で書き取りを指示すると、こちらから提案しない限り、生徒たちのほとんどがシャープペンシルを使用します。そこでこう言います。
「万年筆を使ってみようか?」と。
多くの生徒は「えっ?」という顔をします。
なぜなら、日本では日常的に万年筆を使う生徒はあまりいないからであり、想定外のことだからです。
では、なぜ万年筆を使うとよいのでしょうか。
一番の理由は、それが「心地よい」と思われるからです。
決して主観だけで言っているのではありません。
現に、今でも多くの作家が万年筆を使っていることはよく知られています。
英語習得で一番大切なのは、心地よく学ぶということではないでしょうか。英語と日本語は大きく異なる言語であり、どうしても中・長期的に学ぶ必要があります。そしてそのためには、そのプロセスが苦行であってはならず、頭と体の負担を少しでも軽減するよう配慮しなければなりません。
何も言わずに生徒たちの書き取りを見ていると、必要以上に筆圧が高い子が多いように感じます。指、手首、腕、そして肩がガチガチなのです。そして、硬い下敷きを敷き、先の細いシャープペンシルを使い、ガリガリと文章を書いていきます。そしてどこかで必ずボキッと芯が折れ、字を間違えると今度は消しゴムに持ち替えてバタン・バタンと机をたたくように消しかすを掃除します。
考えすぎといわれるかもしれませんが、良質な英文と向き合った時に感じる流れるような思考が妨げられているように思えてなりません。
また、字の書き方という点で見ると、役所の文章のように小さな字をぎっしりと、あるいはきっちりと書く生徒もいます。私自身が字がきれいな方ではないせいか、「お見事!」とうなってしまうこともしばしばです。
各人の個性は尊重します。でも個人的には、ストレスを感じることなく、のびのび・すらすらと書いてほしいと思います。また、万年筆で書くことを体験した生徒の多くは、その後、めきめきと書き取りが上達します。書き取りはテストではありません。間違えたら、横線でも引いて書き直せばいいだけです。
力を抜いて体にかかる負担を減らせば、自分では気づかないかもしれませんが、頭と心に余裕が生まれ、落ち着いた気持ちで学習できるようになると思います。
子供に英語を学ばせたいと考えている親御さんは、ぜひ万年筆をプレゼントすることから始めてみてはいかがでしょうか。