2025年度の大学受験が終了しました.

今週実施された国公立二次試験をもって,今年度の大学入試がひとまず終了しました.当塾に在籍する高校3年生も,今年は全員が国内の大学志望ということもあり,まずは一段落というところです.生徒には,これまでの努力に対し心からねぎらいの言葉をかけてあげたいと思います.

IMG_1067

 コロナ禍以降は海外の大学への留学・進学希望者はほぼいなくなり,当塾では国内の大学入試を見据えた指導が中心となっています.生徒の多くがいわゆる難関学部への進学を希望しており,授業計画の立案から,過去問の分析や一人一人の添削まで,やりがいはありつつも,大変忙しい1年間でした.

 ここ数年間は,医学部を中心に理系学部への進学希望者が一定数いるのが特徴だったのですが,今年は文学・語学,国際,法,政治・経済等,全員が文系学部を志望しています.必然,入試で英語が占める比重や重要性が大きく増すこととなりました.本人たちもそのことを十分認識しており,3年次以降は全員が週2回ペースで授業をこなしてきました.

加えて,対面の授業以外に,生徒一人当たり1年間で30回近い添削をこなしてきました.このような地道な努力のおかげで,最初はつたない英文や和訳しか書けなかった生徒も,見違えるほど完成度の高い解答文を作成できるまでに成長しました.添削指導は,解答を作成する生徒も,添削する私も体力勝負です.今だから白状しますが,国公立の二次試験前は,私自身,疲労からふらふらな状態でした(笑).

 第一段階の共通テストについては多くの生徒が満足できるスコアが得られたようで,私立の一般入試や国公立の二次試験には精神的な余裕を持って臨むことができたようです.受験にあたっては,これまでに培ってきた力を悔いのないように出し切るよう,アドバイスを送りました.一部の生徒からは受験後すぐにメールが届きましたが,文面には一言「I’ve done everything I can do. No regrets!:すべて出し切った.悔いはない」とありました.

 当塾で学んだ高校生であれば,英語力のみならず,思考の深さや視野の広さなど,東京など首都圏のみならず,海外の大学に進学しても十分やっていけるだけの力の素地が身についています.進学先の大学名や世間の評判など関係ありません.そのような内向きの狭い価値観とは縁を切り,自信を持って新たな地平を切り開いて欲しいと思います.

2025年,始動!

生徒,保護者の皆様,あけましておめでとうございます.

今年度も,どうぞ,よろしくお願いいたします.

当塾では,昨日より無事,新年度の授業を開始しました.

しばらくブログを更新していませんでしたが,私自身はいたって元気です.例年同様,今年も高校3年生が複数在籍していますが,全員,国内の大学への進学を希望しています.また,今年の特徴としては,全員が文系ということもあり,志望大学・学部のすべてで英語の配点が高く設定されています.指導する側としても,非常にやりがいを感じています.コロナ禍以降,現役高校生の海外留学希望者はほぼいなくなり残念ですが,そこは,本人たちの意向を尊重したいと思います.

R0011297

ブログを更新しない言い訳になりますが,2024年は本当に忙しかったというのが率直な感想です.ただし,先ほど述べましたように,志望校別の過去問分析や添削等,生徒ひとりひとりの対応に,過去にないほど時間を割くことができ,充実した1年間でした.普段は生徒に「一体,何回模擬試験を受けるの?」,「与えられた事ばかりに時間を割かず,書店に足を運んだりTEDを観たりしなさい」と言っているのですが,気がつけば,自分が一番仕事人間になっていることに気付かされました.

過去1年間,特に難関学部向けの過去問や英文素材を使って指導を続けてきましたが,すべての生徒で実力が大きく向上してきたと感じています.以前は,砂を噛むような思いで英文を読んでいたであろう生徒や,一読しても「何が書いてあるのかさっぱりわかりません」という素直な感想を口にしていた生徒が,最近は,自分の言葉で必死に説明しようとする姿勢が身についてきたようです.

当塾は「1対1の個人授業」のため,こちらの解説を静かにだまって聞くだけということはありません.毎回の授業では,生徒に対して英文和訳や和文英訳,ライティング,リーズニングその他,必ず口頭での説明を求めます.これは,これまでの指導経験から,自分の解答は自分で説明できて初めて自分のものになると考えているからです.

また,生徒にとっては目の前の入試に合格することがすべてですが,授業では常に「大学入学後」のことを念頭に置いて指導を行っています.「共通テスト」の問題傾向など,細かなことを気にする気持ちは理解できますが,「1体1の対話」を地道に続けることで,ゼミでの研究発表などで求められる分析力や発信力は自然と身につきます.ちなみに当塾では「(問題を)解く」という言葉は厳禁です.なぜなら英語は「読み解く」ものだという価値観が大切だと考えているからです.「解き方」にこだわる前に,まずは目の前の英文を正しく読めるようになりましょう.

「1対1の対話」を通して学んだことは,たとえ目に見えなくても,確実に脳内・体内に蓄積されていきます.偏差値や合格可能性等,「数値優先」の傾向が(公教育を含めて)強い教育界であるからこそこそ,当塾では,今後も「価値」(自分が大学で何を学びたいのか,なぜその大学・学部に行きたいのか真剣に考える姿勢)を中心に据えて授業を進めていきます.

大学のオープン・キャンパスでは「見えないもの」にも目を凝らしましょう.

8月に入り,高校2年生の多くが「オープン・キャンパス」に出かけます.

当塾でも,関東や関西以外に,中京圏の大学,さらには北海道まで出かけている生徒がいます.ほとんどが家族同伴のため,夏休みを利用した短期の「家族旅行」を兼ねているのかもしれません.

IMG_0363

見学後は授業時に感想を聞きます.生徒は異口同音に「よかった」と言います.これはある意味当然です.少子化の時代,大学側としては少しでも多くの高校生に関心を持ってもらいたいと考え,入念に準備するからです.

世間のイメージはともかく,大学教員の多くは授業や研究で普段から忙しい人たちです.彼らは皆,限られた時間を使って体験授業や会場の準備をしています.少しでも手応えを感じたいと考えるのは当然でしょう.

しかし,高校生の側は,一つ注意しておくべきことがあります.当たり前ですが,体験授業は,入学後の授業をすべて忠実に再現・体現しているわけではないということです.

具体的に何か違う部分があるとすれば.それは授業ではなく授業の準備の部分,すなわち「予習・復習」です.こう言うと,高校生の中には「大学も予習・復習が必要なのか」と驚く人もいるかもしれません.

厳しい受験競争が終わり,大学生になったら,サークルやコンパなど,どうしても遊びの方に意識が向きがちです.陰鬱な高校生活に早くピリオドをうち,都会で楽しく大学生活をエンジョイしたいと考えるのは,富山のような地方の高校生にとっては素直な気持ちでしょうし,共感もできます.

参考までに私自身の例を挙げます.私は日本的な区分けで言うと,文系,具体的には「語学・政治・国際系」です.3年時以降に参加が必須となるゼミでは,毎週,最低数百ページの文献や資料(半分は英語)に目を通す必要がありました.このような週に一度の「本ゼミ」以外に学生だけで行う土曜日午後の「サブ・ゼミ」があり,終了時間は未定(平均で5,6時間),毎回,指定テキストの購読から始まり,その後はディスカッションに移行します.

毎回,議論を主導する学生が決められるので,当日までの1週間は緊張で「胃が痛い」日々を過ごすことになります.しかし,これは今では私の人生にとってかけがえのない大きな財産となっています.英語力は当然のこと,資料分析力から口頭表現力,文章作成力まで,徹底的に鍛えられたからです.

オープンキャンパスでひとつ残念に思うのは,(仕方がないことではありますが)このような「厳しさと楽しさが混在した学びの空間」が持つ,あの独特の空気感が伝わりにくいということです.わざわざ遠くから足を運んで来てくれた高校生に,大学の先生が「私のゼミは厳しいかもしれません.毎週数百ページの予習が必要です」と言うと,一体どのような反応が返ってくるのでしょうか.

夏休みは自分で「課題」を見つけましょう.

夏休みに入り,普段忙しい高校生も,多少は自分の時間が持てていることと思います.毎回の授業では,夏休み中の予定その他について確認することから指導を開始します.生徒から異口同音に聞こえてくるのは,「課題」の話ばかりです.つまり学校や大手予備校から課される「課題」です.

IMG_0375

当塾の生徒の中も,何人かは大手学習塾や予備校の「夏期講習」を受講しているようで,「自分の時間がない」とこぼします.とにかく夏休み前半の生徒は,学校や予備校から出される「課題」との戦いに明け暮れています.

いつも思うのですが,「課題」は人から与えられるものなのでしょうか.少数意見だということは承知していますが,私自身は「課題」の多くは「自分で見つけるもの」だと考えています.自分の高校時代を振り返ると,確かに大人からのアドバイスは大事だけど,「ここが面白そうだから少し深掘りしてみよう」とか,わからないことがあったから「参考書を読み込んでみよう」とか,そのような意識が大きかったと自覚しています.

例えば,普段はしかたなく学習している数学でしたが,夏休みに「三角関数」や「行列」など,特定の分野に特化した参考書を本屋で買ってみたりしました.数学に対する情熱は夏の花火大会のようなもので,夏が終わると,すぐにただの「思い出」に変わってしまいましたが,それでも,それまでの自分とは異なるベクトルへの行動であり,「小さな成長」であったと今となっては考えます.

普段は自宅と学校の往復,夏休みは自宅と夏期講習の往復.周りの大人は「今やっておかないと」と陰に陽に圧力をかけてきます.そのような時,自分の中にある「小さな好奇心」の扱いをどうするのか,普段から考えておきましょう.そうすることで,今は正面から向き合うことができなくても,いつか,自分を形作る大きな柱になると思います.

英語がわからないのか,知識がないのか,or…

4月以降,ブログの更新もままならないほど忙しい日々を過ごしています.一部のOB生徒からは,「先生,お元気ですか」と生存確認に近いメールをいただくことがありますが,当人はいたって元気です.

IMG_0309

さて,今年は高校3年生が多く,さらには本人たちの希望もあり,今の時期から志望大学の過去問を使いながら,精読から英文和訳,和文英訳,さらにはテーマ型のライティングまで,みっちり取り組んでいます(近年,取り上げる頻度が高いのは,東京大学,一橋大学,そして大阪大学です).

先日ある生徒の授業で,大阪大学の過去問(外国語学部:2023年度)を使って英文精読の指導を行っていた時のことです.冒頭部分で “Sherlock Holmes”や”Sir Arthur Conan Doyle”といった馴染みのある名前が目に入ってきました.

その時に生徒が示した反応に,久しぶりに(普段は温和な態度を心がけています),生徒に対して(少しだけ)厳しい口調で話をすることになりました.理由は,これらの名前を適切に音読できなかったため,また彼らが誰であるのか即答できなかったためです.

その後,ほかの複数の生徒でも確認したところ,ほとんどの生徒が同じ反応を示しました.ちなみに,当塾の生徒はすべて富山市内の進学校(と言われる)高校に在籍しており,半数以上は中学時代から当塾で学んでいます.

しかし彼ら彼女らのほとんどがこれらの固有名詞を音読できず,こちらから説明を受けるまで一体だれのことなのか理解できなかったのです...

さすがの私も心が萎えました.「一体なぜこうなってしまったのか」と.

入試問題の出題者である大学教員の考えとしては,これらの人名が使われている英文を用いる意図は明らかです.すなわち「知識の差によって生じる違いを最小限に抑え,純粋に英語力・思考力で受験者の実力を測りたい」ということです.

それどころか,今回の例で言うと,出典は A Study in Scarlet(邦題:緋色の研究)であり,一度目を通したことのある受験生であれば(多くがそうだと願いたい),受験会場で一人静かにガッツポーズをしたはずです.

そのような大学側の「親心・真心」があるにもかかわらず,その恩恵に与れないとすれば,そもそも入試受験会場に向かう資格すらないと思いますが,どうでしょうか(特に「外国語学部」の受験生).

生徒の多くは学校や大手予備校の影響もあり,模擬試験の「点数や偏差値」を気にします,一方,最低限の「常識・知識」を知らないことに,驚くほど無関心です.「誰の責任か」といった瑣末な議論をするつもりはありません.一人の講師としてできることは限られており,現場で指導する人間としては,できること,すべきことを日々,淡々とこなすのみです.

幸いなことに,当塾に在籍している生徒は,日頃私から少々厳しいことを言われても,(意図的に厳しく接しているのではありません)素直に耳を傾けてくれます.また,彼らは皆「そのようなことは今まで(特に学校で)言われたことがない」と言い,改善に向けて行動に移します.要は,アドバイス一つで,いくらでも変化が期待できるということです.

参考までに,韓流好きの生徒に,The Beatlesを知っているかと聞いたところ,「名前は聞いたことがある」という返答...

どうやら,一定年齢以上の大学教員の親切心は,今の時代,お節介になりつつあるのかもしれません.

今年は全員が国内の大学に進学:東京大学(文科三類)

当塾に在籍する受験生すべての進学先が無事決まりました.
年明け早々,能登半島地震があり,精神面の影響を心配しましたが,
困難な状況の中,皆よく頑張ったと思います.

コロナ禍以降は,一部を除き,海外留学を希望する生徒はめっきり減りました.一方で,国内の有名大学へ進学したいという高校生の割合が増加しています.ある意味,富山らしい傾向ですが,正直,少し寂しい思いもあります.周囲と異なる選択をするという行為は,心理的な抵抗が大きいということなのでしょうか.

そのような保守的な土地で育った彼ら・彼女らでも,大学入学後はぜひ留学したいという希望を持っています.都会に出ればさまざまな価値観と出会うチャンスもあるので,固定観念にとらわれず,「和して同ぜず」の精神で頑張って欲しいと思います.

さて,参考までに今年度生徒が進学した大学・学部の一部をご紹介します.
一人目は以下のとおり.

1.東京大学:文科三類

当初はなんとなく文科一類を志望していたようなのですが,私の影響かどうかわかりませんが(笑),国際関係学に興味を抱き,最終的には文科三類にしたようです.東京大学の場合,進振後の3年次からは法学部・教養学部のどちらでも国際関係学が学べます.私自身は教養学部の方が良いという考えであり,このことを伝えると,自分でもいろいろ調べたようです.いずれにせよ,最初に2年間はすべての学生は教養学部に在籍するので,いろいろな刺激を得ながら考えを深めていけばいいと思います.

IMG_1412_Komaba_UTokyo_02

本人は将来,官僚になって日本のために貢献したいとのことです.ここまで将来像がはっきりしているというのも頼もしい限りです.また,官僚になるなら外務省がいいのではとプッシュしておきました(笑).外務官僚の場合,本省での研修後に留学の機会があり,配属後は定期的に本省と在外公館を行き来します.日本と海外との架け橋になりたいという気持ちはとても大切であり,そのような崇高な理想が持てる場合は,ぜひチャレンジして欲しいと思います.

R0011050_SAIS

過去10年間富山で指導してきましたが,ここまで意識が高く行動力がある生徒は希有な存在です.勉強面で向上心が高いのはもちろんですが,いわゆるガリ勉ではなく,長年剣道で自分を鍛えてきた文武両道タイプです.長身なので,大学入学後は「格闘技でもやったら」と言うと,そこは意外なことに「古本屋巡りをし,将棋にも打ち込んでみたい」と本人...運動部からの誘いを断るのは大変かもしれません.いずれにせよ,貴重な4年間なので,学業からスポーツ,将棋まで,思う存分楽しんでください.

ちなみに,その生徒には卒業祝いとして以下の本を贈呈,紹介しました.本人からはさっそく「購入しました!」との返事.

Good Luck!

A.贈呈した本

開かれた社会とその敵(K.ポパー)

B.紹介した本

1.ジョージ・F・ケナン回顧録(ジョージ・F・ケナン)

2.国際政治(H.モーゲンソー)

3.歴史の教訓(アーネスト・メイ)

5.決定の本質:キューバ・ミサイル危機の分析(G.アリソン,P.ゼリコウ)

2024年,始動!

生徒の皆さん,保護者の皆様,あけましておめでとうございます.
当塾では,昨日1月4日より2024年度の授業を開始しました.

学校はまだ冬休み期間中だと思いますが,実家に帰省したり,旅行に行ったりと,各自が貴重な休暇を楽しんだようです.

一方では,報道にもある通り,能登半島地震は富山県内にも大きな被害をもたらしています.当塾でも,生徒が落ち着いて授業に参加できるよう,最大限,精神的なケアを行っていく所存です.

R0010974

個人的なことを申しますと,私自身は2011年に起きた東日本大震災を東京都内で経験しています.このことから,今回の地震による被害の大きさが明らかになるにつれ,当時の生々しい記憶がよみがえってくる思いです.

さらに言えば,羽田空港での事故を知ったときは,1985年に起きた日航ジャンボ機事故のことが即座に脳裏をよぎりました.当時は学生でしたが,航空機が好きだったことから精神的なショックが大きく,事故が起きた8月12日は,今でも毎年一人で静かに黙祷を捧げ,一日を過ごしています.

年齢を重ねると,人生の中で大きな事故や災害を目にする機会も増えます.しかし,そのようなときこそ,落ち着き,立ち止まり,なぜこのような事故や災害が再発するのか,一人の市民として静かに見守っていきたいと思います.

2024年が,生徒,保護者の皆様にとって平和な一年となりますよう,祈念いたします.

2023年が無事終了.1年間ありがとうございます.

時間が過ぎるのは早く,まもなく2023年が終了します.
縁あって当塾で授業を受講してくださっている生徒,そして生徒の送迎その他,日頃から応援してくださっている保護者の皆様方に,心よりお礼を申し上げます.

当塾は,富山ではほぼ唯一といってよい,マンツーマン指導による高校生専門の英語塾です.2012年の後半から授業を開始し,2023年で約11年間,これまでに高校生を中心に(+中学生・社会人)多くの方々に授業を受講していただきました.来年2024年は12年目となります.

IMG_0011

ふだん富山で指導していると,最近では高校生との間で価値観の相違に悩むことも多く,自分自身が浦島太郎や異星人のように感じられることもあります.一方で,生徒が皆一様に性格が温厚で優しいこともあり,彼らに助けられながら(笑)ここまで続けることができてきたのではないかとも思います.

長年(30年以上),英語講師(時には通訳・翻訳者)として教育業界の片隅に身を置いてきましたが,国際的にはウクライナやパレスチナに見られる国際政治のレベルでの悲劇的な紛争,国内的には共通テストへの移行に見られる大学入試制度の変更等,ここ数年は特に変化が大きいと感じます.表面的な部分で対応しようとすると変化が持つ速度に追いつかない印象です.

IMG_0033

指導を支えているのは,毎回欠かさず授業を受講してくれる生徒の熱意もさることながら,もしかすると私自身が学生時代に指導教官から受けた教えの中にもあるのかもしれません.学生時代の恩師(日本人.専門は国際政治学)は例えて言うならば,J.S.ミル(J.S. Mill,19世紀英国の政治学者)のような人で(ミルには会ったことはありませんが…),教授との「一対一の個人指導」は,毎回,緊張で胃が痛かったことを覚えています.

指導スタイルは,細かな部分には深入りせず,常に「本質的な部分」に目を向けるよう,誘導してくれたように思います.「なぜこのテーマを選ぶのか」,「このテーマが持つ意義は何か」,「君が言いたいことは何か」等,シンプルな言い方ですが,こちらの目を正面から見据え,常にストレートに切り込んで来ます.

当塾の生徒は高校生であり,大学生・大学院生の指導とは異なります.しかし,彼ら・彼女らも近い将来,大学生になります.当然ですが,私が学生だった時代とは表面的には価値観が異なります.ただし,当塾ではこれまでも,そして今後も「本質的な部分」に目を向け,模索しながら,生徒との「一対一の対話」を愚直に続けていきたいと思います.

富山市の高校生が英検準1級ダブル合格.実用英検の受験を指導の主軸に据えている理由.

富山市在住の高校生がそろって実用英検準1級に合格しました.
今回は二人ともS-CBTでの合格です.

以前はほとんどの生徒が「本会場受験」を選んでいましたが,最近は「S-CBT」の割合が高くなってきました.生徒の多くは学校でGTECの受験経験もあるため,コンピュータ操作がネックになることはないと思います.さらに学校の定期試験時期との重複も避けられるため,紙の問題用紙に対するこだわりがなければ,「S-CBT」での受験を検討してみましょう.

IMG_0040

ちなみに,将来の希望進路を確認したところ,二人の内の一人は「官僚」,もう一人は「未定」だそうです.いずれも富山の高校生らしく「国内の大学」への進学を希望しています(少し残念…).

いずれにせよ,大学受験前に準1級に合格することができ,二人とも大変喜んできます.

当塾では日頃から,「表面的な偏差値」や「世間の評価」,さらには「問題の解き方」といった視野の狭い価値観に縛られることなく,「良質な英文を精読」することと,「自分で調べる」こと,そして「意識を外に向ける」ことを指導の根底に置きながら授業を行っています.

IMG_0953

準1級レベルになると,一般的な高校生の知識では難しいと感じるテーマが出題されます.たとえば,最近面白かったのは,第二次大戦時に英国がアフリカ戦線で採用した軍事作戦や,同じ英国内におけるイングランドとスコットランドの歴史的な権力闘争(なぜ国家間の関係にローマ法王が関与するのか等,世界史を選択していない生徒にはわかりにくい)などです.

学校から与えられる課題を機械的にこなすだけではなく,時には辞書や資料と格闘しながら英文を読み込む学習姿勢は,それこそ一生の財産になります.なぜ自分から手を動かして辞書や資料を確認するのか,なぜ「どういうことか説明してください」との質問に口頭で説明するよう毎回の授業で求められるのか,ほとんどの生徒は「今は」わからないと思います.なぜなら,これらはすべて「大学入学後の学び」に生きてくるからです.

ちなみに準1級合格後はどうするか.当塾では生徒の意向を確認しつつも,通常はすぐに志望大学の過去問を使うことはせず,そのまま1級の英文精読とライティング指導に移行します.準1級に合格するということは,高校生としては高いレベルの英語力があることの証です.ただし表面的な試験テクニックに走らないよう配慮する必要があること,「英文読解力」や「論理的な思考力」を一段高いレベルで磨くことが後の大学入試,さらには大学での主体的な学びに生かせると確信していることから,引き続き良質な英文やテーマの宝庫である1級の英文精読を継続します.

OBによる大学紹介-3:金沢大学(医学部:医学科)

OBによる大学紹介,第3弾は「E.T」さんです.「E.T」さんは現在,金沢大学大学・医学部3年生として,学業とサークル活動の両方で充実した大学生活を送っていらっしゃいます.では,始めましょう.

Q1. こんにちは.お名前をどうぞ.

「E.T」です.

Q2. 在籍大学と学部・学科について教えてください.

金沢大学の「医薬保健学域医学類」3年生です.

Q3. 金沢大学の志望理由を教えてください.

恥ずかしながら特に強い理由があるわけではありませんでした.父が医師だったこともあり,医学という学問が身近に感じられ,かつ憧れの対象であったことが一番の理由です.

IMG_eko_01
宝町キャンパス:01

Q4. 金沢大学に入学後の印象はどうですか.

 周りの人と競争する大学受験とは大きく異なると感じました.例えば,テスト時にみんなで協力しあい,一緒に合格しようという意識が強いことに驚きました.また,入学してからも勉強ばかりかなと想像していたのですが,いつも勉強という感じではありません.ほとんどの学生が医学類の部活動に所属し,アルバイトを掛け持ちしています.
 
 一年次は山の中にある「角間キャンパス」,2年次から6年次までは「宝町キャンパス」でそれぞれ学びます.宝町キャンパスは兼六園や金沢城など金沢を代表する観光地が徒歩圏内にあり,勉強で疲れたときなど,散歩すると心が和みます.

Q5.英検準1級を取得されていますが,取得時期や対策の際に心がけたことを教えてください.

高校2年生の時に,準一級に合格しました.準一級を取るには,英語力はもちろんですが,何よりも長文やリスニングの内容が高度であることから,理系文系問わず幅広い分野における基礎知識が必要です.そのような教養があまりないと当時は感じていたので,AEAの授業を通して,過去問その他の英文を精読することで,合格に必要な知識や教養を身に付けることができました.特に,長文読解では,パッセージ全体の主旨を捉えることや,出題者の意図を考えることの重要性も学びました.初めはあまりできなかったですが,試験までにはできるようになりました.

IMG_eko_02
宝町キャンパス:02

Q6.英語・英検をどのように生かしていますか.例えば英検を取得することが何らかのメリットになっていたり,大学での学びに活かすことができていますか.さらには自主的な学びにつながっていますか.

一年次にTOEICを受験しました.大学の規定により730点以上の点数を取っていると授業が免除されます.

ニ年次には「医学英語」という授業があり,英語で医療倫理を学んだり,診察する練習をしたり,医学の専門的な内容を英語で読んだりします.高校時代,AEAで行った大学受験や英検対策を通して,Scienceその他,医学関連の英文をすでに読んでいたこともあり,それらの学びが生きていると感じます.

Q7.大学での英語授業の印象はどうでしょうか.学生のモチベーションや担当教員の意識,使用教材や授業の進め方について教えてください.

一年次は基本的には週に2回,ネイティブ講師による英語の授業があります.また,共通教育科目が英語で開講されているものもあります.TOEICの勉強だけでなく,コミュニケーションを中心とした授業が受講できます.

二年次では,先ほども触れましたが「医学英語」の授業が行われます.加えて,専門科目においても「解剖用語」を英語で覚えたり,授業で配られる資料が全て英語のものもあります.

Q8. 異文化交流はあるのでしょうか.外国人の教員や留学生との交流,留学の有無について教えてください.

ネイティブの講師が2人いらっしゃいます.お二方とも医学を学んでいたということもあり,医学分野でのコミュニケーションを学ぶことができます.

一年次にエジンバラの医科大学に短期留学するプログラムや,上級学年次に,ニューヨークで医学研修するプログラムもあります.

Q9. 仕事上のキャリアや展望等,将来の予定は決めていらっしゃいますか.

まだ医学の現場をしっかりと見たことがなく,来年から行われる「病院実習」を通して自分の将来をどうするか,じっくり考えていきたいと思います.自分としては,生まれ育った北陸の医療に貢献したいという希望を持っています.

IMG_eko_03
部活のスキー合宿

10. 最後に,後輩・受験生に向けて,当塾の授業で役立ったことがあれば教えてください.

AEAに通ったことで「英語の4技能」を学び,身に付けることができました.それだけではなく,学校の課題に追われ,課題をこなすことに気を取られがちだった時,課題はが全てではなく,視野を広げ,幅広い教養を身に付けることの大切さも学びました.

**********************************************

「E.T」さんは中学・高校時代の約5年間,当塾で学びました.入塾当初からモチベーションが高く,口数は多くないものの,内なる闘志を秘めているという印象でした.中学時代に英検2級に合格,高校入試もスムーズに目標を達成,高校2年次に英検準1級まで進みました.自分からはっきりとは言わないものの,医学部に進むだろうと思われたため,英検1級や雑誌Scienceの英文を精読することで,医学部合格に必要な力を着実に身に付けていきました.本格的に英検1級合格を目標にするようアドバイスしようとも思いましたが,本人の希望を尊重し,高校3年生以降は医学部合格を最優先しました.

印象に残っているのは,いつも重いリュックを背負いながらも,愚痴一つ言わずに黙々と通塾し,授業に参加する姿です.たまに厳しいことを言ってもポーカーフェイスで表情があまり変わらないので,話が通じているのかどうかわからないこともありましたが(笑),最後にはきっちり結果を出す,論より証拠といったタイプの生徒でした.

本人も述べているとおり,今は学業・サークル活動の両方で大学生活をエンジョイしているようです.おそらくは,今はこれまでの人生で最も楽しい時期だと思います.思いっきり楽しむことで,今後の人生の糧にして欲しいと思います.応援しているので,ぜひ頑張ってください.