3年連続の快挙です。
当塾で集中授業を受講した富山市内の中学2年生が、この度2016年度第3回実施、実用英検2級に合格しました。
おめでとうございます。中学2年生の実用英検2級合格はこれで3年連続です。本人、お母さん共に本当に嬉しそうです。
実はこの生徒は過去2回、2級に不合格になっています。そこで自力では難しいと判断し、当塾の門を叩きました。最初の面談では大人しい印象を受けましたが、普段スポーツを頑張っていることや、話の受け答えから、芯が強く自己管理ができる人間であると判断しました。そこで、「負担が大きいけれど頑張ってみるか?」と聞くと、「頑張ります!」と即答。
過去2回のCSEスコアが合格圏内から大きく離れていたため、やってみないとわからないという状況からのスタートでした。今までの学習方法を確認すると、典型的な日本人英検受験者の学習スタイルそのままでした。つまり、旺文社から出版されている対策本を「黙って静かに学習」するというやり方です。音読もほとんどやったことがなく、発音や音声に対する配慮がありません。
長年、英語を含めた外国語を学び、教え、翻訳にも携わってきた人間として、色々考えることがあります。それは、「英語を学ぶとはどういうことか」、「英語の力がつくこと、英語が上達するとはどういうことか」というごく基本的な問題意識です。これについてはいずれまた改めて述べたいと思いますが、一つ思うのは、スポーツなどの他の技能と同様、きちんとしたルールを学ぶと同時に、「センスを育むことも大事」ということです。要は「英語のセンス」です。身も蓋もないような言い方になりますが、やはりそう思います。センスを育む意識があれば、状況に応じて自分が学んだことを応用できます。センスがなければ、自分が知らないこと、未知の状況に対応できないように思います。
では、どうすればセンスを育みつつ英検合格レベルに到達できるのか。しかも今回の場合のように短期間で。従来から、英語力向上に「音読」が一定の効果があることは知られています。しかし、英検上位級の合格を目指すには、学校の授業や自習だけでは、時間・量・方法のいずれにおいても不十分です。そこで、今回の生徒の場合、英検の過去問対策に入る前に、まずは音読や筆写のやり方を教え、徹底的に繰り返すことから始めました。もちろんテキストの内容を理解した上で、です。具体的な目標は、受験級である2級のリスニング・スクリプトを、原稿を見ないでシャドーイング・ディクテーションできるようになること、リーディング・スクリプトの概要を簡単な日本語で再現できることです。中学生にとってはかなりハードな内容であり、誰にでも薦められるわけではありません。あくまでも本人の潜在能力やモチベーションを見極めた上での判断です。
さらに、実用英検が2016年度からCSEスコアを採用したことを受け、ライティングも徹底指導しました。ある意味当たり前ですが、最初に書いてもらったライティングの原稿は「英語になっていない」内容でした。そこで、中学3年生の教科書を使って、自分がしっくり来る雛形を自分自身で作っていく指導を行いました。合格できる雛形をこちらから一方的に提示する方法は取りませんでした。英語であれ日本語であれ、言葉のセンスは自分自身で磨くしかありません。他人が作った原稿は、所詮は他人のものです。
この生徒は、私が指示した学習・トレーニング内容を全てこなしてくれました。よく頑張ったと思います。さて、気になる受験結果はどうだったか。一番驚いたのは本人でした。3ヶ月前のCSEスコアは合格からは程遠いレベルでしたが、結果を見て私も驚きました。CSEスコアは2級合格レベルをはるかに超え、準1級合格レベルに到達しています。リーディング、リスニング、ライティング、ライティング全ての分野で、受験者全体の平均を大きく超えており、ライティングに至っては受験者トップ・レベルです。
「準1級どうする?」と聞くと、本人は「3年生になるので、高校受験頑張ります」とのこと。今後しばらくは、DVDやNHKのテキスト(『Enjoy Simple English』など)を使って、「英語生活」を楽しみながら骨太な力が付くよう、授業を進めていきたいと思います。