実用英検解説: 準1級リーディング編-1 (2017-3)

実用英検は一次試験が終了し,当塾の生徒は二次試験に向けて口頭練習に励んでいるところです.
同時に,授業では一次試験の内容についても必ず見直すようにしています.そこで,ここでは生徒から出された質問や疑問点をもとに,準1級問題(2017年度第3回)について何点か解説したいとします.

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大問2: Minimalism: Is Less Really More?

パッセージ全体で,段落ごとにそれぞれの主張が簡潔かつ明快に述べられていることに気づきますか? 第1段落はミニマリストの主張,第2段落と第3段落はミニマリストに対する批判となっています.非常にはっきりとした論理の流れが見えると思います.

設問(26)は,3行目の”however”以降,”not only”以降の内容と,(26)以降の関係が問われています.”bold claim”, “more satisfying”などの表現から,ここはミニマリストの主張を支える思想的な部分をさらに深く掘り下げていることがわかるかどうか.辞書には”In fact”の欄に,「さらに言うならば」などの表現が見つかると思います.また,(26)前後のロジックが単純な順接であると解釈し,”In this way”にマークした受験者もいるかもしれません.

第2段落は第1段落の主張に対する第1の反論ですが,その主旨は,「物が多すぎること(と同じかあるいはそれ)以上に,物を持たないことが,人間の感情に悪影響を与える可能性がある」です.最終行”just as strongly as”の”as,,,as…”は,「…(同じか)それ以上に,,,」です.

文末が”can”で終わっていますが,この点はどう解釈すればいいのでしょうか.比較級の文では,言わなくても(or書かなくても) わかる内容は省略します.ここまでいえばもうわかりますね.

第3段落は第1段落の主張に対する第2の反論ですが,ここは英文・内容ともに平易なので,細かな解説は割愛します.段落の主旨は,「貧しさゆえに物が持てない人たちとは異なり,ミニマリストは自らの選択として物を持たないのであり,必要であればいつでも手に入れられる.従って,ミニマリズムは実際にはミニマルではない」です.

以上,大問2: Minimalism: Is Less Really More?について簡単に解説しました.大切なのは,”In fact”や”as…as,,,”の例で述べたように,よく目にする簡単な表現ほどきちんと辞書で確認するということです.結果として正解が得られた場合でも,まぐれや偶然に依存しないで済むよう,気になった箇所は必ず見直しをしましょう.

次回は,大問3: New Zealand Pest Controlを取り上げます.ここでも複数の生徒から,「本文中にわかりにくい箇所がある」との感想が寄せられています.