英語の凹凸

TOEICのリスニング問題は、4カ国のナレーターの英語音声で録音されています。日本人にとって一番なじみがあるのはアメリカ英語でしょう。

そしてそのアメリカ英語ですが、一般的には中西部の英語(というよりは米語)が標準であるとされています。しかし、アメリカに滞在したことがある人はわかると思いますが、日常生活でこの標準米語に接する割合は、特にワシントンDCやニューヨークのような都市部ではそれほど高くないかもしれません。

大学や大学院の先生たちは、非常にきれいな米語を、しかもゆっくりと話す人が多いという印象を受けます。
しかし、一歩キャンパスの外へ出ると、そこには実に雑多な英語が待ち受けています。特にワシントンDCはアフリカ系の人が多いので、普通にダウンタウンを歩いていたり、地下鉄に乗っていたりすると、ラップのような英語が聞こえてきます。

R1000022

ここで気になるのは、標準米語を自認するようなアメリカ人にとって、彼らが許容できる英語はどこまでかという問題です。
國弘正雄先生は、『英語の話しかた―国際英語のすすめ』の中で、アメリカ人の航空管制官の例を挙げて、様々な国籍のパイロットが話す英語を理解しなければならない大変さについて触れておられます。つまり、国際化やグローバル化というのは、ほかならぬアメリカ人にとっても一定の負担を強いているということです。

常識的に考えれば、標準米語から著しく逸脱した英語を話す人とやり取りすることは、アメリカ人にとって大きなストレスになることは容易に想像できるのですが、非ネイティブが標準米語を話すことは当然ながら完璧には期待できません。でも、会話という音声を媒体にしてやり取りする際に、意思の疎通が可能か否かを、彼らアメリカ人がどこかで無意識に区別しているような印象を受けます。

もしかすると、ここに、ネイティブとやり取りする際に気を付けておくべき発音上のポイントがあるのかもしれません。