今年度は受験生(高校3年生と中学3年生)の生徒が多く,毎日の授業は大忙しです.皆,学校の課題をこなしながら,中には予備校や学習塾の夏期講習に通う人もいるようです.受験生ではない1・2年生も基本的には,学校の課題をこなすことで多くの時間を消費しているようです.
学校の課題をこなすことは,学校・生徒の両方にとって学習習慣を身につける上で欠かせないのだろうと思います.このような考え方を否定することはしませんが,日々生徒をみていると,多くの場合,課題とは「作業」であり,このような作業を終わらせたら,ゲームやインスタでリフレッシュしたいといいうのが本音でしょう.
当塾では,主に大学入試の過去問を見せながら,入試に関わる現場の「大学」教員が何を考えているか,すなわち,受験生である高校生に何を求めているかという視点を紹介,あるいは一緒に考えるようにしています.たとえば,富山大学の医学部では,数年前の英語入試問題で,ハリウッド映画から会話の一部分が題材として用いられました.映画のタイトルは『A Few Good Men』(1992),主演はTom Cruise,脇役でDemi Moore,Jack Nicholsonが出演しています.
授業で確認したところ,この映画を見たことのある生徒は皆無,Tom Cruiseの名前も知らない,あるいは聞いたことがある程度という人がほとんどでした(男子はほぼ全員「知りません」.女子は「『ミッション・インポシブル』が好き」だという中学生3年生がかろうじて一名).そのような生徒の多くは,映画自体を観ないわけではなく,実際,年に2,3回は映画館に足を運ぶ人もいます.ただ見ている映画の多くはアニメや邦画が中心です(コロナ禍でも映画館に足を運び,邦画を見ることは,日本映画界にとっていいことにはちがいありません).
では,なぜ富山大学の医学部では,受験生の多くがまず観たことはないだろうと思われるタイトルから会話のスクリプトを選んで出題するのでしょうか.授業では,アニメばかり見ている高校生と,実際に出題されたワンシーンをYoutubeで観ながら,出題者の意図について考えました.