大学入試とは「超・意識高い系の大人との対話」のことです.

3月も後半に入り,大学入試が一段落しました.入試に必要なことは授業ですべて確認・学習済みで本番に臨みました.このため,皆,本番では落ち着いて対処できたようです.

例年同様,今年度も推薦入試,一般入試両方での進学となりました.進学先の学部・専攻も,外国語・国際系から工学部や医学部まで様々です.そのような中,一部の生徒は来年度再チャレンジする道を選択したようです.当塾の授業も継続したいとのことなので,引き続き精一杯応援する所存です.

R0011355

さて,生徒には常々,入試とは何かということについて話しをしてきました.多くの受験生は,学校や模擬試験の点数や偏差値のことで頭がいっぱいで,自分が志望する大学や学部については漠然としたイメージしか持ち合わせていません.

過去問の英文を見たときに難しく感じる場合もあると思います.そのようなとき,多くの生徒,特に真面目な生徒は「単語力が足りない,文法が理解不足である,もっとリスニング対策をしなければ」と考えます.これはこれで間違いではないのですが,やはり大切な視点が足りていないと伝えます.

それは,「大学入試とは何か」という「根本的な問いを立ててみるという姿勢」,あるいはちょっとした「気づき」です.授業では,英文が難しいと感じたときに,一方的に解説することはせず,なぜそれが難しいと感じるのか,その場で考えさせるようにしています.生徒の多くは,まずは単語力や文法,構文の知識不足に目が行くようです.しかし少し考えた後に,難しいと感じるのには別の要因,さらに言えば遙かに重要な要因が働いていることに気付きます.

例えば,高校レベルの教科書は,3年生の場合,分量的には多くても800字程度であり,長文というほどではありません.それでも一読しただけでは,あるいは単語を調べても,理解できないことがあると思います.さらには,英語が良く出来る生徒にありがちなのですが,語彙,文法,構文,これらの知識を即座にその場で活用することが出來,英文を日本語でかなり正確にパラフレーズする言語能力も持ち合わせているのですが,「本当にこれでいいのでしょうか」という表情をします.

そこで生徒に,学校から与えられている課題以外に何をしているか,あるいは考えているかを確認させます.生徒,特に男子生徒は参ったなという顔をします.こちらも尋ねる前から返事の中身はわかっているのですが.....

要は,ふだんゲーム実況やアニメばかり観ている中で(キャラクターの多くが同世代であることが多い),Japan TimesやNew York Times,ScienceやNatureの英文を読まされたときに,英文の全体像を理解できるかということです(たいていの場合,理解できないか,あるいは理解できたと錯覚しています).

大学入試に臨むに当たって,なによりもまず理解しておかなければならないのは,大学教員は大人,しかも「超・意識高い系」の人たちだということです.学生という「自分たちと一緒に学びを深めていく仲間」を選ぶ際には「一切の妥協はない」と心しておくべきでしょう.学生の選抜や確保の点で,大学側も必死なのです.

成人年齢が引き下げられたことに伴い,今後は,大学入試は,「精神的な成熟度を測る試験.「大人が大人を選抜する試験」,あるいは少なくともそのような心の準備ができているかどうかを計る試験へと,これまで以上に変化していくかもしれません.「大人のヒーロー(ヒロイン)像」が描けない高校生・受験生は,知的・精神的に準備ができているでしょうか.