社会人受講生:国立大学医学部編入試験(一次)合格!

また嬉しい知らせが入って来ました.
3ヶ月間,当塾で学んだ社会人の方が,国立大学医学部編入試験の一次試験に無事合格しました.

当塾は受講生の多くが高校生です.したがって授業内容は,発音・音読練習から読解・英作文,英検やTEAP,留学を希望する生徒の場合はTOEFLの受験対策やエッセイのライティングなどが中心です.

そのような中,3ヶ月ほど前,医学部編入を目指す社会人の方からメールをいただきました.話によると,去年いくつかの大学の編入試験を受験したが合格には至らなかったこと,合否の鍵が英語であること,英語学習で非常に悩んでいるとのことでした.

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面談を行い,いろいろ話をしましたが,本気で医師を目指していることがわかりました.この方は過去に大学を卒業しており,医学部編入は大きなキャリア・チェンジとなります.プライベートな面まで話を伺い,退路を断って行動していることに心を打たれました.

さっそく指導を開始しましたが,いくつか気付いたことがありました.これまでにも,英検のリーディングが苦手という社会人の方々を見てきましたが,そのような方々に共通点した特徴です.

細かな話は控えますが,概ね以下の通りです.

1. 音声に対する意識が希薄である,あるいはまともに音読ができない.また読む速度が遅い.普段リスニングをしていない等.
2. パッセージやパラグラフの構成(センテンスとパラグラフ,パラグラフ同士の関係等)が理解できていない.
3. 設問で正解を得ることを優先する一方,英文そのものが読めていない,あるいは読めた気になっている.
4. 細かな情報は比較的理解できるが,全体の主旨をまとめることが苦手である.

今回受講した方の場合,上記4つのすべてで改善が必要と判断しました.また,多少の手応えが実感できるまで最低3ヶ月はかかると話しました.授業では,まずは高校生と同様,基本に立ち返り,最初に1パラグラフずつ音読し,その後ですべての英文について精読する作業を続けました.

使用したテキストは主に志望校の過去問で,出典はScienceNature等の医学・科学系の専門誌です.学生時代に語学と国際政治学を学んだ私にとっては専門外の内容であるため,私自身も予習に相応の時間を割きました.ただし出題の傾向云々ではなく,あくまでも英文リーディングの観点から指導することに専念しました.

多少の手応えを感じるようになったのは,1ヶ月ほど経ってからです.最初の頃とは異なり,説明の仕方や内容が見違えるように整理されています.成長の跡が見られること,自信を持って続けようと励ますと嬉しそうな表情.本人は,設問の内容や正解の根拠がわかりにくいと感じているようでしたが,もう少し辛抱し,当面は英文リーディングの精度を上げることに専念しようと話しました.

その後はリーディングの精度が上がってきたのが確認できたため,速度を上げる方法を指導しました.英語であれ日本語であれ,特に論文の場合はパッセージ全体を貫く一本の「筋道」があります.微細な情報に煩わされることなく,本筋を読み取るにはどうすればいいのか,頭の働かせ方をトレーニングしました.高校生にも言っていることですが,きちんと読めていれば,全体を読み終わった時に「目の前の視界がクリア」に感じられるはずです.この方の場合も,入塾した頃とは違って,少しずつではありますが,表情が明るくなっていきました.

英作文を除き,最低限の内容は指導できたと判断し,普段通りの気持ちで受験してくればいいと,本人を送り出しました.本人が抱える不安や緊張を全て取り除くことはできませんが,落ち着いて取り組めば必ずいい結果が期待できると思いながら,私も高校生中心の授業に戻りました.

最後の授業から2週間近く経った頃です.久しぶりのメールなので私も緊張しながらiPadの画面をタップしました.第一報は,「***大学の一次試験を通過しました!」です.

文面から,本人の嬉しそうな表情が目に浮かびます.次は二次試験ですが,面接でプレゼンをする必要があるとのことです.ここから先は本人次第です.頑張ってください.