ここ数日の間に,高校3年生の受検結果が発表されました.センター試験から私立一般入試,国公立二次試験まで,皆さん大変お疲れ様でした.
さて,今年は高校3年生の志望校や進学先に,これまでとは異なる傾向が見られました.特に,過去に志望者の多くを占めた外国語や国際系の学部以外にも,一部の生徒が医学部や工学部等,理科系を志望し,進学しました.各自の志望や希望については入塾の段階で確認していますが,特に医学部を志望する生徒が一定数入塾してくるというのは,これまでにない現象であり,新鮮な驚きでした.
過去に社会人枠で医学部を受検する一般人の方を受け入れたことはありますが,現役の高校生で医師を希望する生徒がいなかったこともあり,富山大学や金沢大学等,北陸を中心とする国公立大学の医学部の過去問を詳細に分析する必要に迫られました.
富山大学医学部(一般入試)の過去問は,特に出典も含め細部まで目を通しました.全体的な印象としては,実に興味深い内容であり,多くのことが学べたと思っています.ここでは詳しく触れませんが,私のような部外者が抱くどちらかと言えば保守的なイメージとは大きく異なり,良い意味で裏切られたというのが率直な印象です.同大学医学部の入試問題からは,以下のような出題者のメッセージが読み取れます.すなわち,「既存の学問に対しては敬意を払いつつも,過去の因習や価値観にとらわれず,常に新しい考え方や行動力が身に付くよう,葛藤の中で努力してほしい」ということです.
高校生にはいつも言っていることですが,「入試とは出題者との対話」です.
多くの高校生は,このような「出題者との対話」など考えたこともなく,「傾向」や「対策」といった表面的な方法で入試にアプローチできると思っているようです.高校時代に学校から与えられるドリルやプリントを機械的にこなすだけで満足していることや,入試は要領であり技術であるという考えが社会の一部で流布していることも要因でしょう.しかし,要領や技術を生かすためには,前提として理解しておくべきこともあるはずです.
今年の高校3年生は,授業で説明した指示をきちんと守って受検に臨んでくれました.結果発表後は,笑顔で進路を報告してくれたり,中には手作りの大きなケーキを持参してくれた生徒もいます.当塾で学んだことが,進学する皆さんにとって何らかのお役に立てれば幸いです,毎回欠かさず授業に参加してくださり,本当にありがとうございました.