中学生 の 英語学習 で大切なこと(英検含む)

メールで問い合わせをいただくこともあることから、英検 対策も含め、中学生 の英語学習 に対する考え方について触れておきます。

1. リベラルアーツの考え方を重視

リベラルアーツとは、世界には多様な考え方や物の見方があることを知り、それらをバランスよく学びながら、自分自身の物の見方を身に着けるための学問のことです。中学生の場合、英語の習得と日本語での知識の習得は車の両輪と同じであり、両方の側にバランスよく空気を入れてあげる必要があると考えます。

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コミュニケーション志向の高まりと共に、今の日本、特に大人社会では英語に対する実用主義的・機能主義的な捉え方が支配的です。すでに一定の知識を習得している大人であればこのようなアプローチでもかまわないと思いますが、知識の習得過程にある中学生に対して大人と同じアプローチや価値観をそのまま用いてよいかどうかについては、慎重な判断が必要です。なぜなら、挨拶や会話表現を学ぶことは大切ですが、それらと同じくらい大切なのは伝えるべき「中身」だからです。「中身」がなければ、相手が日本人であれ外国人であれコミュニケーションは長続きしません。英検の上位級を受験する場合は、ITや国際関係、環境問題などに関する知識、そしてこれらの問題に対する意見が求められます。普段からこれらの問題について自分自身で考えていなければ、日本語であれ英語であれ意見を述べることはできないでしょう。

また現行の教育制度の下では、生徒の英語力が最も大きく問われるのは、大学入試の時点です。近年、一部の大学入試に出題される読解問題が長文化・難化する傾向にあります。言うまでもなく、日本語で読んでもわからない・知らない内容は英語で読んでもわかりませんし、受験生が一番苦労するのも読解問題です。したがって、将来的な大学入試を見据えた場合、リスニングやスピーキングなど音声面の学習と、国語力も含めた読解力や日本語での知識の習得をバランスよく組み合わせることが大切になります。

このようなことから、普段の授業では、通常学習以外にGraded Readers等のレベルに応じたテキストを使用して生徒の好奇心を刺激し、興味・関心を自分で発見できるよう配慮しています。Graded Readersには様々な会話表現・場面が含まれているため、どのような「コンテクスト」でどのような会話表現が使われるのかが「実感」できるという利点があります。このような「実感」を積み重ねることで、読解力が向上し、読書の習慣が身に付くと考えています。

2. 授業は原則1対1のマンツーマン指導

中学生であれ、高校生や社会人であれ、授業は原則1対1のマンツーマンで行います。友人同士で受講したいとの申し出があればグループ授業も可能です。また、集中授業については、グループ授業になる可能性もあります。いずれの場合も、面談で本人や保護者の考えをお聞きした上で決定します。

3. 一人一人で異なる授業内容

個人授業がベースであるため、授業内容は一人一人異なります。

3a.中学卒業までに英検上位級(実用英検準1級等)を取得したい等、高い目標を掲げる生徒もいます。当アカデミーでは、このような高い目標を持つ生徒の意志を最大限尊重します。このような場合、学校の授業だけで目標を達成することは難しいと思います。また通常授業以外にもGraded Readersや日本語書籍の読書を通し、ハイレベルな知識がバランスよく身につくよう配慮しています。

3b.先を急がず、学校のペースに合わせた授業も可能です。部活を頑張りたい場合も、家庭での学習時間を確認しながら授業計画を立てます。大会が近い場合は、宿題を減らしたり出さない等の配慮をする一方、時間に余裕がある場合はたっぷり取り組んでもらいます。ちなみに、過去に英検2級等、上位級に合格した生徒も含め、ほとんどの生徒が運動系の部活に所属しています。

4. 英検 は進度に応じて受験

中学1年生の場合、小学時代の学習進度や生活環境が一様ではありません。高い目標を自ら表明する生徒もいれば、とりあえず楽しそうだから英語を習いたい、あるいは学校の勉強や部活と両立させたいという生徒もいるでしょう。

ここではお母さんの意識や考え方も大切です。
たとえば、中学卒業時までに英検上位級を取得させたいとお母さんが考えている場合、英検対策と学校の授業や部活、高校受験対策を両立させることが本人にとって可能かどうか、過度な負担にならないかどうか、よく考えていただく必要があります。

英検上位級を目指すには、なによりもまず本人の明確な意識、そして知的・体力的スタミナが必要です。したがって、特に小学生時代をのびのびと過ごした生徒の場合、彼・彼女にいきなり高い目標を課し、意識改革を求めることが適切かどうか、慎重に見定める必要があります。

通常、英検対策は集中授業で行います。正式な入会前に集中授業のみに参加することも可能です。学習相談等、お問い合わせはいつでも歓迎です。遠慮なくご連絡ください。

会員連絡(150514): 実用英検(2015年度第1回)対策を行います

2015年度第1回実用英検まで、残り1ヵ月を切りました。

今回受験する人は、授業時に過去問(昨年度分)を持参してください。

また、当アカデミー会員以外の中学・高校生を対象とした短期の対策講座も随時開講しています。

対策講座は、個人・少人数授業です。実用英検の問題文、設問には一定のパターンがありますが、市販の対策本では解説が足りないと感じている人もいると思います。

授業では、過去問を使用し、参考書や問題集だけではわからない英語のロジックまで掘り下げた解説を行います。中学・高校生でも十分理解できる内容で、「なるほど、そういうことか」と納得して本番に臨むことができます。チャレンジ精神のある中学・高校生の参加をお待ちしています。

会員連絡(150427): GW中の授業について

GW中は、カレンダー通りに授業を行います。

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授業日が祭日に当たる場合は振替授業を実施します。祭日以外に欠席する場合も振替可能です。旅行等の予定がある場合は早めにご連絡ください。
詳しくは、授業時に確認します。

語源で広がる英単語の世界 – “おみやげ”は誰のもの?

世の中には、英単語はただひたすら暗記するものという考え方が一部にあるようです。実用英検を受験する際に、膨大な量の単語を覚える必要があることも理由の一つだと思います。

当アカデミーでも中学・高校生のすべてが実用英検を受験することから、対策の一環として単語の暗記に取り組みます。ちなみに、中学2年生で実用英検2級、1年生で準2級等、一般的な中学生にとっては難易度の高いレベルでの合格者を出しています。

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しかし、暗記に頼る方法は英単語を身に着けるための唯一の方法ではなく、このことは生徒にも説明しています。暗記はあくまでも試験「対策」であり、短期的な記憶の保持を目的としているにすぎません。

一方で、英単語は「暗記」や「対策」という固定観念を取り去ることでより広い世界が見えてきます。例えば、英語の母国は英国ですが、同国の大部分を占めるブリテン島は大陸から近いこともあり、古くから多くの民族が行き来を繰り返していました。このため、英単語には、元をたどればドイツ語やスカンジナビアの言語、さらにはフランス語やギリシャ語、ラテン語など多くの言語から単語が流入していることが分かります。

通常、これらの情報は辞書の語源欄に記載されています。そしてこのような情報に目を通すことで、単語の意味といった表面的な知識を超えた「語感」を養うことができます。ただ残念なことに、最近の辞書ではこのような語源の説明が省略される傾向にあります。日本の学習英和辞典は大変優れていますが、これは少し残念な点です。コミュニケーション志向の高まりとともに、辞書の役割も変化しているということでしょう。

このような時代の変化を考慮しつつ、同時により深く語彙に意識が向くよう、教室の机の上には『ジーニアス英和大辞典』を置き、生徒が自由に使えるようにしています。ちなみに、「souvenir」の欄には語源(下線部)が次のように記載されています。

●「souvenir」:

〚初18c;ラテン語 subvenir(心に浮ぶ).「sou-(・・・に)+venir(来る)=心にやってくる」〛名C〔旅・出来事などの〕記念品, みやげ(memento)〔of,from〕◇「自分の思い出のために買った物」の意で使うことが多い;

ついでに英英辞典も見てみましょう。Collind COBUILD Advanced Learner’s English Dictionary, 5th Edition, 2006ではフル・センテンスで以下のように定義されています。

A souvenir is something which you buy or keep to remind you of a holiday, place, or event.

Longman Dictionary of Contemporary English, 5th Edition, 2009 (LDCE)では以下のような例文が見つかります。

I bought a model of the Eiffel Tower as a souvenir of Paris.

洋の東西を問わず、みやげや記念品は大切にするということでしょう。ただし、「souvenir」の場合、人のためというよりは自分の思い出のためというニュアンスが強いことが分かります。18世紀以前の英単語はどうだったの? という素朴な疑問は大切にとっておきましょう(笑)。それくらいの気持ちの余裕は持っていてもいいと思います。

英単語と日本語をセットでただひたすら暗記する方法は、いわば2次元の知識の習得方法です。一方、語源やコンテクストに配慮する方法は3次元の習得方法です。すでに前者の方法を実践している場合、後者の方法に少し意識を向けることで、より深い語彙の知識が得られます。

単語を単なる暗記の対象としてしか見ない場合、特に大学入試で未知の単語に遭遇した時に苦労します。なぜなら、記憶にない単語が出たらどうしようという不安が消えることはないからであり、記憶になければその時点でお手上げになるからです。このため、普段の授業では、中学生・高校生共に、語源や語幹、接頭辞、接尾辞等を含め、コンテクストを意識しながら体系的・体感的に語彙の知識が身につくよう配慮しています。

新着テキスト – シェークスピア編

以下のテキストを入荷しました。会員の皆さんは自由に借りることができます。昨年はシェークスピア生誕450周年でした。これを機会に中学・高校生もぜひ手にとって読んでほしいと思います。劇場に行くことがベストですが、それは今後の楽しみにとっておきましょう。

1.『Macbeth: Upper Intermediate (Macmillan Readers) 』

Macbeth: Upper Intermediate (Macmillan Readers)

2.『Hamlet: Intermediate (Macmillan Readers) 』

Hamlet: Intermediate (Macmillan Readers)

3.『The Merchant of Venice: Intermediate (Macmillan Readers)』

The Merchant of Venice: Intermediate (Macmillan Readers)

Macmillan Readersのシリーズは、挿絵がきれいです。

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4.『ハムレット (研究社小英文叢書 (173)) 』

ハムレット (研究社小英文叢書 (173))

5.『ヴェニスの商人 (光文社古典新訳文庫) 』

ヴェニスの商人 (光文社古典新訳文庫)

瞬間英作文は正しい文法で

英語習得に王道はありません。ただし、個人で学習する場合は、どうしてもアウトプットが手薄になりがちです。

大学受験でも、古典的な和文英訳から自由英作文まで多様な英文ライティングが課されることから、受験生は各自の志望学部に応じたライティング力をつけておく必要があります。

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言うまでもありませんが、アウトプットの前提には豊富なインプットが必要です。その気があれば、基本的な文法と構文学習を一通り終えた後は多読の実践をお勧めします。ただし、部活等で十分な時間が確保できない場合は、簡単な例文を一定量暗記すると、後で大きく生きてくると思います。

このような考えの下、ふだんの授業では、学習進度を考慮の上、主に高校生ですが例文の暗記に取り組んでもらっています。短文の暗記はシンプルな行為のため、数か月という期限を設定すれば忙しい高校生でも十分続けられると思います。

具体的には、毎週決めた数の例文を暗記し、瞬間英作文の要領でアウトプットを行い、さらにパターンプラクティスまで実践します。

高校生の場合は大学受験を念頭に置く必要があるため、自由に話せるようになりたいという目標は持ちつつ、文法的な正確さを維持することが大切になります。テキストを選ぶ際は、英文がシンプルで、「SVO」等の文型表示が記載されているものを選ぶとよいでしょう。

Graded Readersを授業に取り入れて読解力の向上を図る

コミュニケーション志向の高まりと共に、英語学習でもスピーキングに対する意識が高まっています。当アカデミーでも、すべての生徒が英検を受験することから、毎回の授業と2次試験前の両方でスピーキングの練習をします。

一方で、今の日本の受験環境を考えると、4技能の中で一番重要なのは読解力です。大学受験、特に難関学部では出題される英語の長文化に拍車がかかっており、難易度も上昇しています。この点からも早い段階から国語力も含めた読解力をつけることが重要になります。

このような認識の下、普段の授業では生徒が気軽にリーディングに取り組めるよう、さまざまな工夫を凝らしています。

一例として、Graded Readersその他、和書・英書さまざまな書籍にいつでもアクセスできる環境を整え、ふだんの授業でも積極的に取り入れています。

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日本語であれ英語であれ、言葉というのは文脈(コンテクスト)の中で初めて命を持ちます。ドリルで文法を学び、テスト対策を行うことはもちろん重要ですが、それだけでは不十分であり、場面や状況といった生のコンテクストまで生徒の意識を向けるようにしなければなりません。

読書に対する姿勢は家庭環境が大きく影響します。ただし、過去に読書の習慣がない場合でも、カラフルな絵柄のテキストを見せるとほとんどの生徒は興味を示し、読書の習慣がついていきます。子供が本来持っている好奇心が開花するということでしょう。

授業では生徒のレベルや興味関心に応じて何冊かGraded Readersを選び、ゆっくりとしたペースで読み合わせを行い、互いに楽しく感想を述べたりします。

Graded ReadersにはCDも付属しており、ライティングやリスニングでも使用します。当アカデミーの生徒は、リーディングだけではなく、通常、中学1年終了時点で、シャドーイングやリテンションを応用したスピーキングやライティングの方法を一通りマスターします

所蔵テキスト: Adventure Stories, Travel Stories

当アカデミーの本棚には大量の本があり、初めて来た人はみなさんびっくりするようです。これらの本を置いているのは、会員の皆さんにできるだけ多く良質な本に触れてほしいからであり、人に見せびらかすのが目的ではありません。自宅にはもう置き場所がないというのは内緒です(笑)。

特に、中学・高校生の読書量の少なさには危機感を感じており、英語・日本語を問わず良質な本を紹介することも大切だと考えています。これらの本は、会員であれば学年を問わず自由に読んだり借りたりできます。

MacMIllan Readersは、Level 1 – 7 まであり、以下の2冊はその頂点に位置するLevel 7シリーズに含まれています(CEFRではC2)。個人的には旅行や単車でのツーリングが好きなこともあり、The Lawless Roads (Graham Greene)Long Way Round (E. McGregor & C. Boorman) が面白いと思います。さらには第二次大戦中の英軍パイロッについて描いたThe Sun Rises Twice (H.E. Bates) もおすすめです。ただし、平均的な英語学習者にとっては文章や語彙の難易度が高く、対象となる読者は社会人も含めた上級者ということになるでしょう。中高生向けの本もたくさんあるので、順次、ご紹介します。

  • Adventure Stories (MacMillan Literature Collections)
  • CEFR: C2

MacMillan Literature Collections Adventure Stories Advanced Level (Readers)

  • Travel Stories (MacMillan Literature Collections)
  • CEFR: C2

Travel Stories (MacMillan Literature Collections)