ピンチはチャンス:今回の危機は自分の学びを再考する貴重な機会です.

コロナ・ウィルスの影響により,富山県内でも学校の休校が続いています.
このような状況下では,テレビ報道の影響もあり,学習が遅れたり運動不足で生活が不規則になる等,マイナス面ばかりに目がいきがちです.

幸いなことに,当塾は個人授業のため,授業形式を「対面授業」から「Skype授業」に変更した以外は,これまでとなんら変わることなく授業を進めることができています.

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毎回の授業では,1週間の生活・学習状況についてその都度確認することができますが,そこから判断する限り,生徒たちも比較的規則的に生活できているようです.

そのような中,生徒たちには以下のことを話しています.つまり,今回のようなパンデミックは大人も含めてほとんどの人が未経験であり,今人類は,世界が大きく変わる変革の時代にいるということです.

歴史を見ればわかるとおり,戦争や地震等,多くの場合,変化は悲劇と共にやってきます.これは悲しいことではありますが,人間の歴史というのはそういうものです.

高校2,3年生にもなれば,多少世の中のことも見えてくるはずですし,またそうでなくてはなりません.このようなときに,しかも2ヶ月近くにわたって学校の授業がないというこの時期に,自分の内面と対話し,どのように過ごすか考えてみること,そのための自由が得られたことは,逆説的ですが,貴重な機会を与えられたと捉えることも可能ではないでしょうか.

学校からは,相変わらず,ドリルやプリント中心の学習をするよう指示されているようです.このような学習については,以前にも増して,生徒からの不満を耳にするようになっています.すなわち,このような「ドリル作業」には多くの時間がとられることから,高度な学習や読書の時間が十分にとれないという不満です.例えば,すでに英検準1級を取得しているにもかかわらず,ドリルやプリントを提出しなければならない,もっと高度な英文を読みたい,世界のことを知りたいという強い思いがあるのに,そのための時間がとれないというという悩みです.

そのような生徒たちには,プリントやドリルを使った機械的な「作業」は早々に済ませ,教科書その他の英文をじっくり読み「自分の頭で物事を考える学びの時間」をつくるようアドバイスをしています.例えば,高校3年生の教科書は大変優れており,高校生だけに読ませるにはもったいない内容です(社会人の英検受験者にも購入を勧めています).富山市内の一部の高校で採用されているUnicorn 3 English Communicationは素晴らしいですね.過去に世界で話題になった著作からの抜粋が収められており,一部はTEDで著者のスピーチを見ることも可能です(例えば,Lesson 9: The Power of Introverts by Susan Cain),

また,一部の生徒の授業では,英検1級の読解問題に加えて科学雑誌ScienceThe New York Timesのエッセイ,さらにはコロナ・ウィルスに関する最新情報を一緒に読んでいます.実力と向上心を兼ね備えた高校生であれば,このような一流紙レベルの英文を読み,自分でコメントを作成するレベルまで力をつけることは十分可能です.参考までに付け加えると,一部の大学や学部の入試では,このような海外一流雑誌からの出題は当たり前です.

当塾では,今回の休校期間中に,5冊から10冊程度本を選んで目を通すこと,数本の洋画やTEDを観ること,洋楽を聴き,生の英語を堪能するよう指示しています.生徒たちの反応は上々であり,皆学校のプリント作業は早々に済ませ,自分なりの「学び」を堪能しています.志が高い生徒の場合,大人たちの心配は杞憂です.すべてを管理するのではなく,生徒を信じて時間を与え,「自分で考えて学習・探求しなさい.疑問点があれば聞きに来なさい」とアドバイスすることも,時には大切な教育であるように思います.